第3話

「俺だって可愛い彼女が欲しいっ!!」



ダンっと学食のテーブルを叩く柚を横目に、ダークブラウンの髪をお洒落にくしゅくしゅとさせたリア充その1が指をスマホの画面に滑らせながらため息混じりに言った。



「姉さん達にこき使われてる内は無理だろ」

「やっぱそうだよなぁ〜…」

「………………」

「あ〜…俺このまま一生彼女なんて出来ずに死ぬのかなぁ……」

「………………」



だらーんとテーブルに倒れ込むようにして、スマホばかり弄る隣人を下からじっとりと見つめる。



「ねぇ、橙真!!俺の話聞いてる?」



柚の嘆くような声に、橙真は顔を上げる。



同い年なのにやけに落ち着いた表情と仕草に、柚は(やっぱり顔かぁ)と内心で呟く。



「柚はさ、一人暮らしとかしないの?」

「一人暮らし?」



キョトンとする柚に、橙真は表情を変えずに頷く。



「姉さん達の支配下から逃れるには一人暮らしするしかないんじゃね?」

「なるほど、考えたこと無かったな…」

「しかも一人暮らしなら、彼女なんて連れ込み放題だしな」

「あっ!そっか!確かに!!」



橙真の言葉に、柚は瞬時にまだ見ぬ彼女との妄想を膨らませ、目を輝かせた。

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