第6話

柚が橙真の様子が気になりだしたのは、橙真の家の近所のコンビニで買い物をしている時だった。



「橙真、明日休みだし飲まね〜?」


いつもの様にへらへらと小さな買い物カゴを持つ橙真へと飲めもしない缶ビールを2缶持って近付いた。


いつもなら「やめとけ」とか「飲めないだろ」とか言いながらカゴに入れさせてくれないのだか、この時はうんともすんとも言わず、柚の手はすんなりとカゴの中へと入れてしまった。


(なんかぼーっとしてる…?)


柚はそう感じつつも、会計の時には気付くだろうと思い、ほんのイタズラ心からそのまま缶ビールをカゴの中に置いた。



しかし、柚の思惑とは裏腹に、なんと橙真は特になんの反応も見せることなく、そのまま会計を済ませてしまった。



「はっはぁ〜ん、さてはお前も今日は飲みたい気分だったんだなぁ〜?」


袋を下げてコンビニから出て来た橙真に、柚は微笑みかけるが、橙真は目を合わせることもなく、スタスタと足早に歩いて行ってしまう。



「あっ、ちょっと待てよ〜可愛くないなぁ〜」

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