第7話

「ねぇ、橙真やっぱり怒ってる?」



橙真は後ろから顔を覗き込んでこようとする柚を無視し、カードキーで部屋のロックが解除されるなり無言で部屋へと入っていってしまう。



(もしかして今日デートの約束でもあったのか?…でも、そうだったらそうで言うよな…?)



「なぁ…橙真って……無視、すんなよぉ〜…」


追いかけるように部屋の中へと駆け込み、一向に顔すら向けてくれない橙真に、柚はしょんぼりと俯いた。



「………風呂入ってこい」

「え?」

「飲むんだろ?動けなくなる前に入ってこい、あんだけ床を転がったんだ、そのままの状態でベッドは使わせられないだろ」

「分かった!服、適当に借りる!」


柚は橙真の言葉に落ち込んでいた気分が一気にグッと引き上がり、その高いテンションのまま、バタバタと慌ただしく風呂場へと駆けていった。

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