第18話

「うわぁ〜!やっぱり自分の為に施されたお供え物って凄い力があるんだ!神達が捧げ物に固執する理由が分かった気がするよ!ふふふっ」



さっきとは一転して目を輝かせる男に、柚はたじろぎながら「おれ、お供えものなんかしてないけど…」と呟くが、



男は「何言ってるんですか!君が自分で僕の目の前に置いてくれたんですよ?」と改めて柚を抱きしめる。



男の硬い体に抱きしめられ、柚は「うっ…!」と顔を青くするも、男は嬉しさのあまりそれには気が付かず、柚を抱いたまま、ゴロゴロと床を転がる。


「僕、お酒なんて初め飲みました!」


「え、あ…うん…」


(感情の起伏が激しい人だな…)


そうしてひとしきり喜びまくった男は、柚を解放し、ニコニコとしながら改めて柚に向き直った。



「改めまして、僕はこの家に住み着いてます、貧乏神の春です。どうぞよろしくお願いします」


「あ、どうもこちらこそ…一昨日、こちらに引っ越してきた柚です」



礼儀正しいく正座し、お辞儀をしてくる春につられて、柚も咄嗟に頭をさげる。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る