小説家志望

小説家志望である太郎の書く小説はつまらない。それは誰がみてもあきらかだった。才能などあるはずがない。
だが太郎の母親、そして太郎の妹の琴音はそのことを本人に伝えることができなかった。太郎は自らの才能を否定されると母親と妹に暴力を振るうのだ。だから母親と琴音は、その暴力から逃れるために才能のない太郎を絶賛した。次は必ず受賞できると。だがあるとき太郎は二人に語った。次の応募作で受賞できなかったら母親を殺し、自らも死ぬと──。小説家を書くことに囚われ、プロになることをあきらめきれない全ての公募勢に捧げるどこまでも転げ落ちてゆくノンストップホラー、ここに誕生！