ちぎりごと

日本の山奥に一人暮らしをする白崎るうは、中学校入学から高校1年生の秋までの3年半の記憶を失っていた。隣近所に住む同級生の友人はるうの生活の手助けをしながら、るうの失われた記憶を取り戻そうとしていた。るうは友人の名前も、行方不明の自分の家族のことも忘れていた。
雪の降り積もる高校1年生の冬、るうは顔の見えない化け物、『お前』の夢を見るようになった。夢の中での映像を通して、るうは自分の過去の記憶を、化け物が食べている肉片の味や感触と共に少しずつ思い出すようになった。るうは友人にこれ以上負担をかけないためにも、夢に見た化け物の正体を学校の中で探すことにした。少ない手掛かりの中、夢に出てきた肉片のスケッチを繋ぎ合わせると、人間の形になった。夢に見ていた『お前』の正体は、人喰いの化け物だった。その事実…続きを読む