第16話 新クエスト

「果物の採取?」


 薬草採取ばかりで飽きていた俺は、他の採取系クエストがないかとギルドの受付に聞いてみると、意外な答えが返ってきた。


「この街でFランクからDランクの冒険者が受けられるクエストは薬草採取しかないんですが、採取系のクエストとなると、世界樹の実の採取くらいですかね。でもこのクエストはAランク以上が推奨になります」

「Aランク?ただの果物なのに?たまにはいつもと違うことをしてみたかったけど……」

「ご主人様、このクエストはあまりお勧めできません。世界樹は森の奥深くにありますし、場所も正確にはわかっていません」

「俺世界樹なら行ったことあるけど。でも、場所はわからないな」

「え……!?」


 俺がそういうと、奴隷はかなり驚いているように見えた。


「それに食材のことだったら、詳しい人に心当たりがあるんだ」


……


 俺はギルドの奥で座っている魔女に近づいた。先日聞いた話だと、料理のプロらしいから、世界樹の実のことを知っているかもしれない。

 しかし、この女は、最近いつもここに座っているけど、暇なのだろうか?人間観察が趣味かもしれない。とにかく、忙しそうには見えなかったので、協力してもらえるか聞こうと思ったのだ。


ガタンッ


 俺が近づくと、驚くようにして立ち上がって後ずさり、椅子が勢いよく倒れた。


「な、何の用でしょうか……?」


 魔女は怯えた様子で聞いてくる。


「この前はどうも。ところで、世界樹の実って知ってる?一緒に採りに行ってほしいんだけど」

「世界樹の実……!?構いませんが、かなり危険な場所にありますよ?」

「確かに危険かもな。俺も一回落ちかけたけど、まあ何とかなったよ」

「落ち?え?」

「じゃあ、明日の朝出発しよう。門に集合ね」

「え、待っ」


 また絡まれても困るので、俺はさっさと受付に戻って、クエストを受注した。

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