第7話 一日目

「フヒヒッ、フヒッ、フヒヒ」


店から出ると柴田は気持ち悪い笑みを浮かべていた。


「フゥーッ、フゥッ、きみが俺の奴隷?フヒヒ」


奴隷の顔をまじまじと見る。柴田は興奮しているのか、息が荒い。すると奴隷は顔を背けた。


(ジロジロ見すぎたかな?フヒヒ)


「あの、ご主人様、買ってほしいものがあります」


鈴を転がすような声だった。


「フヒッ!?フヒ、何でも買ってあげるよ!」

「ありがとうございます!」


(よっしゃ、好感度いきなりアップだ!)


店に向かうまでの間、柴田の脳内には奴隷が発した「ご主人様」のフレーズが鳴り響いていた。


……


「フヒ……」


店から出てきた奴隷は、不細工なお面をつけていた。


(やっぱりこうなるんだな……。よっぽど俺に顔を見られるのが嫌だったんだろう)


「いいお面が買えました。」

「ハハ……よかったな……ハハハ……」


……


その日の夜、宿を借りたが部屋の中でも奴隷はお面をつけていた。


「あのさ、部屋の中だしお面取ったら?」

「嫌です」

「そんなに俺に顔を見られたくない?」

「はい」

「あ、はい……」


こうして奴隷を買った一日目は過ぎていった。

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