第10話 薬草採取
柴田たちは森の中の道を進んでいた。
「本当にこの先に薬草の群生地があるのか?」
「はい」
「野犬とか飛び出してきそうで怖いな」
「大丈夫です、魔よけの魔法をかけていますから」
「フヒッ、じゃあ安心だな」
「こうみえてCランクですから(ドヤァ)」
……
「かなり街から離れたな。あれは何だ?熊?」
見ると遠くに熊のようなシルエットが映った。
「ブラッディベアですね」
「そんな種類の熊がいるのか」
「はい」
「ふーん。何かこっち向かってきてない?逃げよう」
「素早いので逃げきれません」
「え……じゃあ死ぬしかないじゃん」
「後ろに下がっていてください」
「フウッ、剣があるから俺が戦うよ」
「えっ?」
柴田が前に出る。熊は柴田に猛突進してきた。
「下がってください!」
しかしその言葉が届くことはなかった。柴田は恐怖で意識を失っていたのだ。
「間に合って!星空打ち(スターシャイン・ストライク)!」
キュイィィンキュイィィン
けたたましい音とともに奴隷の前に展開された魔方陣から無数の閃光が放たれ、ブラッディベアを貫く。魔獣は跡形もなく消し飛んだ。魔獣一匹を殺すには不釣り合いに壮大な魔法だった。
「大丈夫ですか!?」
奴隷は柴田にかけよった。柴田は足元に小便を垂らしながら、立ったまま気絶している。
「ヒール!」
「あ……れ……?」
「気が付きましたか!?」
「ああ……ヒッ!?」
「えっ?」
「足!汚ねっ!」
「あっ……」
「なんで俺漏らしてんの?もう帰りたい……」
「覚えてないんですか?」
「何を?」
ショックで記憶が飛んだようだ。
「……もう少しで群生地なので我慢してください」
……
「結局獣は出なかったな」
帰りは魔獣に会うことはなかった。柴田は熊にあったことを完全に忘れていた。
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