1話 ここの学園長はクソなんだな

「おい聞いたか?

あの新しい教授コネで入ったらしいぜ?」

「え、ほんとなの?」

「コネで入るとか確実に実力はなさそうね。なんせ私たちはなんせ選ばれた人間なのもの」


「しかもその教授の年齢は見る限り俺らと同じ二十一歳くらい」

「え、本当?!」

「本当本当、有り得ないよな。いくら星座契約者の弟子だからって本当に有り得ない。学園長はいったい何を考えているんだ」


 俺の名前はアリエス•アプリリス。今年から新しい教授としてやってきた。年齢は二十一歳と偽ってるが本当は十八歳だ。しかし、お師匠様が


「若すぎると威厳がなくなり、舐められる。プラス三歳くらい盛っておけ、そうした方が生徒のためでもある」

っと言っていたから偽ってるだけだけれどもね。


(早く三等以上の魔導書が読みたいなぁ、今研究してる防御魔法も試しに使いたいし)


そんな感じに早く帰りたいというのが脳内を占めていた。それにしても俺の事なんだと思ってるんだ。


学校中の生徒から見られてるが、どうにもバカにされてる気がする。こう見て星座と契約してるって言うのに若すぎるがあまりみんな分からないようだ。でも俺も師匠様みたいにみんなの希望の一等星に輝けるようこれから頑張るぞー!そんな感じに一人で意気込んでいた。その足で俺は学園長室へ向かった。


コンコン

「失礼します。学園長様に呼ばれてきました」

 中から出てきたのは秘書さんだった。年齢はだいたい三十代と若そうだがその見た目に反してかなりの術者だ。(こいつ強いな)


「お待ちしておりましたアリエス様。どうぞお入りください。奥の席で学園長様がお待ちです。どうにか口調にはお気をつけてください」


「お気遣いありがとうございます」


俺は秘書さんに案内された席に腰掛けた。やはりこの国トップの学園なのかとても豪華な内装を施されている。机、椅子、扉、棚全てにお金がかかっている。そんな印象だ。


「で学園長様どう言ったご用件でしょうか?」

「新しい先生がどんな方か気になったまでですよ 」


(しかし思ったより若いですな。見た目は‥二十歳くらいと言ったところか。それでも経験や実力も大してなさそうだし、頭がいいだけか。王侯貴族様が推薦してくださったから教授として受け入れたけれども期待して損したわい)


こうして学園長の三十分にもわたる長い長いありがたいお話が始まった。正直話半分で聞いている。


「わかったかな?アリエス教授」

「承知しました。学園長様。とてもありがたいお話ありがとうございました」


 俺は学園長先生に感謝を述べ、学園長室を後にした。

その途端我慢していた疲労感が一気に襲ってきた。楽しみにしていた学園生活だったけれども、まさかこんなにも憂鬱な始まり方だとは思っていなかったからだ。とりあえずそんな不安を募らせないために、楽しみにしていた図書館に行ってみることにした。


どうやらここの図書館には二十万冊の本が置いてあるらしい。中には英雄の書や錬金術の書、聖女の書など伝説の書物もあるとかないとか。そんなことを考えているうちにワクワクしてきた。

俺はさっきまであった不安など忘れており、スキップしながらむかった。しかし前をよくみてなかったため、途中の曲がり角で生徒とぶつかってしまった。


「ちょっとしっかり歩いて、って大丈夫?!」

生徒の持っていたプリントが床に散らばってしまったため、魔法で回収してあげることにした。プリントを見るにかなり勉強熱心な子だとわかる。術式もほぼ完璧と言っていいほど理解している。


「はいどうぞー」

「ありがとうございます。ってあなたは見かけない顔ですね。例の新しい先生ですか?」

「いかにも!そうですよ〜」

俺はドヤ顔をした。しかし生徒の反応は予想外なものだった。


「コネでしか入れない半端者が。明日まで、生きていればいいですね」

そんな捨て台詞を吐いて生徒はその場を去ってしまった。やはりコネで入ったことはこの学園中に広まっていたようだ。それなのか大した実力もないと見限ってるみたい。


そんな些細なことは忘れて図書館に向こうとした。が、その時一枚のプリントが落ちていることに気がついた。内容を見るにさっきぶつかった生徒のだ。


(今度会った時に渡すか。ん?まてよ、このプリント‥これは確か……)




ー【あとがき】ー

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