21話【仲介】
互いの武器がぶつかり、あたりには金属の音と金属破片が散らかる。わたしもヒマリアも決定的な攻撃がなく、防戦になる一方だ。
このまま持久戦に持ち込めばいいと思っていたがわたしの体力が持たない。それに比べてヒマリアは涼しげな顔をしている。
(なんで、なんで…
体力が切れてもおかしくないはずなのに)
わたしは息を切らしながら必死に攻撃を防いだ。
私たちが使っているのは真剣。かすりさえすれば怪我をしてしまう。そのため避けるだけでも冷や汗をかいてしまう。
「アリアっち!さっきまでの勢いはどうしたの?!」
「うぐぐ、こ、これからですわ」
わたしは勢いに負けじと彼女の攻撃を剣で防ぐ。しかしそれに負けじと激しい攻撃をいくつも繰り出してくる。このままでは本当に私が負けてしまう。
「そろそろ体力がやばいんじゃないの?!」
私の体力はとっくのとうに限界を迎えていた。その証拠に剣を握っている手は悲鳴をあげ、足はプルプルと震えている。立っているのでさえ激痛を伴う。そんな時だった。私の持っている剣がすぽっと落ちてしまったのだ。
目の前からはヒマリアの攻撃が飛んできているため攻撃を防ぐ術はもうない。このままだとヒマリアの攻撃をモロに受けてしまう。
体を動かそうにも既に限界を迎えているためろくに動かせたもんじゃない。わたしは死を悟り、目をつぶった。
(こんな終わり方だなんて呆気ない)
「カキン」
目の前からありえないはずの金属どうしがぶつかる音が聞こえた。わたしはおかしいと思い目を開けるとそこには、、
白髪の美しいサラサラのロングヘアに赤オレンジに染まっている先端。そして紺色の大きいローブを垂れ流しており、そこには牡羊座が大きく書かれている。
わたしはその姿に泣きそうになってしまった。まさかのまさかのタイミングで入ってくるなんて思ってもいなかったのだから。そして彼は口を開いた。
「2人の喧嘩に割って入るのは悪いが、
流石に危ないから入らせてもらう」
そう言ってから教授は魔法を唱えた。その途端体が縛り受けられる感覚を受ける。拘束魔法だ。
(拘束魔法?!しかもかなり強力なものだわ)
「ひとまず2人の怪我を治さないとな。」
【ヒール】
教授が唱えたその瞬間私とヒマリアの体にできた傷が段々と癒されていく。これは魔法では無い別の神の力を感じてしまう。その姿はまるで聖女見たくとても美しく、見惚れてしまう。
しかし今教授がやっていることは普通の学園教授がなせるレベルでは無い。【ヒール】などは聖女という神の力を与えられたものでないと使うことは出来ない。本当にこの教授は奥がわからない。
「これで2人とも大丈夫か?」
「はい。もう傷も治りましたし大丈夫です」
「教授がいなければわたしは死んでたかもしれませんよ。本当にありがとうございます」
わたしはそういい、お辞儀をしようとした。が、体が縛られているため自由に動かすことはできない。
「教授。これ解いてください」
「ああ、ごめんごめん。」
教授は慌てた様子で魔法を解除した。わたしはしっかりお辞儀をし、感謝の意を伝えた。しかし教授は恥ずかしいのかわたしから目線を逸らしてしまった。わたしはそんな教授が少し可愛らしく思えてきてしまったのだった。
「続き…どうする?」
「もう、やめようか」
わたしは教授に聞こえない声でヒマリアにそういいこの試合に終止符を打ったのだった。
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