20話【対決】
わたしはヒマリアに勝ちたいという感情のままに攻撃を繰り出した。しかしその攻撃は難なくいなされ、しまいには追撃を貰ってしまった。わたしはこのままでは危ないとおもい、1度距離をとろうと、大きくジャンプして後ろに下がった。
「なにー?もう終わり?」
ヒマリアは退屈なのか欠伸をしながらそう言った。どうしてか無性に腹が立ってしまう。わたしはその気持ちをグッと抑え、虚空から魔法の杖を取り出した。
「いいや、これからが本番だよヒマリア。私の本気を受けるがいいさ」
「ふふん。その言葉を待っていたよアリアッチ。
わたしも同じことをしようかな。」
そういい、ヒマリアはどっからか杖を出てきた。全体的にエメラルドグリーンが貴重で装飾品にはダイヤが使われているとてもお高そうな杖。流石この学園といったところだろう。
「そんな高そうな杖使って大丈夫なの?」
わたしは少し不安になり聞いてみることにした。
「ああ、この杖?貰い物だからいいでしょ。知らんけれど」
そんなことを言う彼女に少し引いてしまった自分がいる。壊したりした時のことは考えてないというのが目に見える。しかし今は対決の真っ只中。わたしは自分の取りだした杖を使って術式を即座に唱えた。
(Ice Arrow(氷矢)
2リットルペットボトルくらいの大きさの氷の矢を数本顕現させ、間髪入れず彼女目掛けてはなった。彼女はそれに当たらないと必死に避けている。私は興奮気味にいった。
「ほらほらもっと逃げなさい!私の氷の矢に当たったら一溜りもないわよ。」
「分かってるわよ!いちいちうるさいね〜」
彼女はとてもすばしっこくなかなか当たらない。当たったとしても服やローブが少し掠めた程度だ。わたしはこのままじゃ埒が明かないと思い別の魔法を唱える準備をした。
そんな時、目の前から炎の矢が飛んでくるのが見えた。
わたしはそれをスレッスレでよける。あと少し遅れていたら丸焦げだっただろう。
「さすがに避けるかー。今の当たってたら良かったけれども」
「ふん、さすがに当たる訳には行かないし」
(どうやって攻撃を避けながら魔法を放ったんだ)
そんな疑問が私の中で蔓延る。普通魔法を放つには術式を持ち要らなければならない。そのため魔法を唱えてから実際に放たれるまでにタイムラグが発生する。
(事前に動作をしてないのにどうして)
私は脳内で必死に考え込んでいた。その間にも攻撃をしては攻撃を避けての繰り返しだった。そこで私はひとつの結論に至った。
(ヒマリアは星と契約してる。つまるところ星の【6の権能】を使ってるということになる)
私はそれを見越して持久戦に持ち込むことにした。権能を使うのには対価に見合った代償を払う必要がある。彼女は代償を払った影響できっと残りのマナが少ないだろう。私は必死に彼女の攻撃を避けながら攻撃をし返した。
「アリアッチは持久戦に持ち込もうとしてるけれどそうはさせない!」
彼女はどこからか刀を取りだし私目掛けて切りつけてきた。わたしはその攻撃を自分の持っている杖で防ぐ。しかし刀の刃は鋭くその杖には切り込みが入ってしまった。このままでは部が悪い。魔法の杖をしまい、いつも愛用している剣を取り出した。
「アリアッチも考えることは同じなんだね」
「そうですわね。魔法ではわたしよりも上でしたが、剣術なら負ける気はありまけん!」
わたしの剣とヒマリアの刀が互いにぶつかる。あたりには衝撃波と火花が飛び散った。わたしは繰り返しヒマリアに攻撃を仕掛けた。ヒマリアは隙を見計っては魔法を放とうとしてきたが、そんなチンケな攻撃は剣できればいい。
「もっともっと熱くなりましょう!」
「何言ってるの?私たちの試合はこれからだよ!」
そういい、再び試合は始まるのだった。手合わせのはずがいつのまにか真剣勝負になっていることは2人とも知る由もなかった。
「はぁあ疲れた」
おれは明日の授業準備をしっかりとこなし、今は外にいる。相変わらずここの眺めはとても良い。ここにいるだけでとても落ち着ける。ときより涼しい風がたなびき、それにつられるかのように自然は歌う。
「やっぱり癒されるー」
自然の声を聞きながら大の字で寝っ転がっていた、そんなとき遠くから何かと何かがぶつかる音がした。音のする方を見るとそこには誰かが訓練場でやり合ってるようだった。遠くにいるのでわからないが私はそんなの無視して寝ようと意気込んでいた。が、妙な胸騒ぎがして寝れなくなってしまった。俺は仕方なく訓練場を覗いてみることにした。
「げ、あれはアリアと王女様?!2人とも何してるんだ」
私は止めようか迷ったがこのまま観戦してみることにした。2人を動きを見ると鍛錬されてるのかとても洗礼されているが、経験が少ないのか多少無駄な動きも多々ある。
俺はそのまま観戦を続けてみることにした。
魔法を打ってはいなされ、そしてまた魔法が放たれる。こんな防戦が続いた。
「ほほう、そこでそれを打つか」
こんな感じに独り言を呟きながらじっと見続けている。
いくつもの魔法が放たれ、いなされたことか。そんなときだった。アリアはさっきまで持っていたはずの杖をどこかにしまい、武器を持ち替えた。そう、それはわたしとやり合ったときに使った剣だ。
しかしもう型がきているのか少々刃こぼれを起こしている可能性がある。その証拠に先端部分が少しかけてしまっている。このままでは彼女たちが危ないと思い、わたしは鍵を取りに行った。
訓練場は第三者が立ち入れできないよう内部から鍵をかけることができる。つまり誰も止めることができないのだ。その間にも彼女たちの剣と刀は互いにぶつかり、火花が飛び散る。そしてその攻撃は段々と激しさを増していく。
(間に合え、間に合え、このままだと……)
内心ヒヤヒヤしながらスペアキーを学園長から取っていき、その足で訓練場に向かうのだった。
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