19話【答案返却】

 今日は待ちに待った答案返却。わたしは筆記試験も実技試験も完璧にできたので満点の自信はある。が、クラスメイトたちはかなり苦戦を強いられていたみたい。


その理由は今回のテストだけ今まで類を見ないほど難易度が高かった。ただでさえ教授の授業についていくので精一杯だったのに、テストとなると授業でやった基礎の応用が出される。普通の生徒なら解くのは難しく思える内容だった。




「はぁ、今回のテストは満点いけそうだけれど次は満点いけるかな」


 わたしは不安呟きながら、いつもの教室へ向かった。




 みんなはすでに教室に集まっており、昨日のテストに関して話している。


「しかし、テストやったのは昨日のはずなのにもう返されるんだな」


「そうだね。正直答案用紙を見たくないよ。赤点だったものは確実に補修があるし」


(そんなものもあるんだ)




 わたしはクラスメイトの話を少し耳に挟んでおいた。


「しかしどうしたら魔法で教授に勝てるんだよ。あの教授防御が本当に硬いんだよ」


 それに乗っかるように、クラスメイトは勢いよくいった。


「それな!全然割れなかったし。それにあの教授ちょくちょく煽りを入れてくるあたり本当に腹立つ」




(そうね。あの教授は所々煽りを入れてくるわ。まぁあ大方予想はつくけれど。どうせ、【冷静さを保てー】とか【マナのゴリ押しじゃー】とか【相手の手に乗られるなー】とかいうんだろうな)


わたしはそんな感じで教授が言いそうなことをいくつか考えていた。


 そんな時扉が思いっきり開く音がした。そこにはいつも通りの白髪の教授が、、今回は赤オレンジのロングヘアだった。毎回姿を変えている理由はよくわからない。右手には茶封筒をもっている。どうやら本当に答案返却のようだ。いつも通りの合図で授業ははじまった。


「みなさん昨日は試験お疲れ様だった。みながこの一か月の間に学んできた内容は発揮できただろうか?それじゃ答え合わせからやっていくぞー。」


 そういい、問題の答え合わせが始まった。わたしは思ったよりも間違えてしまい、そのショックで立ち直れそうにない。満点を狙っているはずだったのに…このままだと半分も取れなさそうで次第に汗が滝のように流れてきた。


「それじゃ答え合わせは以上とする。呼ばれたものから取りに来るように。採点間違えがあるものはこのあと私のところに来てくれ。まずはアカリ•ボルシさん。アリアさん.....


 わたしは教授に呼ばれ、教壇までいった。教授から解答用紙をもらい、恐る恐る開いた。すると結果は146/200とクラス1位だった。わたしは期待値よりも低かったため少しショックを受けてしまった。


「もっと点をとれたはずなのに。どうして」


 私は脳裏で原因を探っている。しかしながらどうしても原因がわからない。わたしは納得できないために恐る恐る教授に聞いてみることにした。


「教授どうしてわたしはこんなにも点が低いのですか?」


「君の魔法はとても素晴らしい。ペーパーテストはほぼ満点だった。だが威力を上げようとマナを効率的に使えてないんだ。だからそこの部分を加味して減点させてもらった。」


 わたしは教授の言葉にぐうの音もでない。確かにそうだ。昨日や一か月以上前に戦ったときには、威力を上げようとマナを効率的に使えてなかった。


「どうやったら教授みたいになれますか?」


「そうだな。わたしは今までたくさんの本をよんで、たくさんの魔法を唱えてきた。恐れずに自信持って学ぶことだよ」


 そういい教授は優しく微笑んだ。わたしは心の奥底で学ぶことに恐怖を抱いてたのかもしれない。わたしはこれから胸をしっかり張ってこれから魔法を極めていく。




「アリアっち浮かばない顔をしてどうしたの?」

「ヒマリア。実は……」


 わたしは親友のヒマリアに悩みを打ち明けた。あの時裏切ったヒマリアだったが、ヒマリアにはしっかり謝ってもらい和解することができた。やはりヒマリアとは一生の親友だ。




「なるほどね〜。アリアッちは充分実力があるんだから胸を張ったほうがいいよ        

                          恐れることはないし。」

「そうだけれども……」

「なら一回手合わせをしようじゃないの」




 わたしはそんなことを言ってくるヒマリアに驚いてしまった。が、自然とヒマリアには勝ちたいと言う思いが強い。わたしはそのヒマリアの提案に乗ることにした。




「いいよ。久々に一回やり合おう」

「なら場所を移そうじゃないの」

そういい、私たちは訓練場に移動するのだった。
















ーーー訓練場ーーー


「ここなら手加減なんていらないでしょ?


  周りには大きい防御結界が張ってあるから周りに被害が及ぶ可能性はないし。」


「そうだね。いやー久々の手合わせとなると自信なくなるな」




 わたしは準備体操をしながらヒマリアにそう言った。ヒマリアのマナはとても多い。そのため持久戦に持ち込まれたら確実にわたしがマナ切れを起こし、負けてしまう。


しかし不思議と今まで学んできたことが走馬灯かのように流れてきた。そしてある一つの結論に至った。




「ルールはいつも通り。もうお話はいいよね?

             私は早くやりたくてウズウズしてるのよ」


「そうだね。おしゃべりはおしまいにしよう 

         今回はわたしが勝つからそこのところよろしくね」




その途端ヒマリアはゲラゲラと大きな声で笑い声を上げた。とても嫌な予感がする



「あははは、あっははは。アリアっちが私に勝つ?そんなの無理に決まってるよ。

            ともかく勝ちたいなら遠慮はいらない。本気でかかってきな」


 わたしはその挑発にまんまと受け、地面を思いっきり蹴る。それが戦いの火蓋となったのかヒマリアも地面を思いっきり蹴るのだった。 




ー【あとがき】ー

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