10話【正体】

わたしは泣き叫んでいるアリアを置いて友達に連れられて行動することにした。アリアがまさか嘘を吐くような人間だとはおもわず、失望した。


「まさかあのアリアがあんなことをいうなんて」

「ねー。あのときは魔法使いとしては半人前ーとか言ってたのに」


 わたしは2人の愚痴を左から右へと聞き流していた。友達だったとしても聞いてて気分が悪い。そんな感じで森の中を駆け巡っているととあることに気づいた。


「ちょっと止まって。ここら辺に罠が仕掛けられている」


 私はここら周辺にマナの気配がしたために立ち止まって確認してみることにした。

「ちょっと魔法を唱えるよ。離れてて」

私はそういい、ウィンドカッター森に向かってを唱えた。

そして出てきたのはとても長い術式が施されている拘束魔法の罠であった。これに捕まればひとたまりも無いのは目に見えている


「誰がこんなものを」

「こんなことをする人なんて1人しかいないでしょ?

 ですよね?アリエス教授」


わたしは誰もいないはずの暗い森に向かってそう言った。その時、案の定罠の仕掛け人である教授がでてきた。


「いつの間に?!」「うそ?!なんで?」


友達はその気配に気づかなかったのかびっくりした様子でいった。


「ああ、よく分かりましたね。その感知能力には驚きましたよ」

「教授、ちょっとズルく無いですか?」

「ずるい?ここは戦場みたいなもの。いつ殺されてもおかしくは無いんだよ」


 そうにっこり笑いながら言った。この教授はずっと笑っていて気味が悪い。しかも今日の教授はいつにましてか不気味だ。


「どうするの?このまま私が君たちをタッチすれば君たちは脱落だ」


 そんなことを言われたわたしは背筋が凍った。見ているだけで生きている感覚がしない。先ほどのアリアの判断は正しかったと言わざるを得ない。そんな中友達である2人は行動にでた


「Electricity(雷)」「Fire(炎)」


「どうです?!私たちの攻撃は」

2人は教授向かって放った。しかし、流石の教授なのかそんな魔法は防御魔法で防いだ。


「雷と炎ですか。しかしどちらとも術式が甘くて威力が低いですよ、静電気とマッチ程度しかありません」


 そういい、教授は挑発してきた。それに釣られてか、2人とも術式の詠唱を始めた。


「さっきのは手加減ってやつですよ!今度こそ教授を倒して見せます!」

「ほほう、期待してますよ」

「2人ともやめておいた方がいいよ」


 わたしはそんなことを2人に言った。しかし、興奮しているためか、2人は聞く耳など持ってはいなかった。なんなら、あんたも手伝ってみたいな目をしている。わたしは勝てる自信などないが、生きるためにも戦わないと思い術式の準備を始めた。


「3人できますか。あははは。あはははこうではなくちゃ」

 教授の甲高い声があたりに響く。本当に不気味で何がしたいのかわからない。


「2人とも準備はできた?」

「もちろん!」「あぁ」


私たち3人は同時に同じ魔法を唱えた。

「Flame(炎)」

その魔法は教授目掛けて飛んで行った。


「どうですか?!私たち3人の魔法は!」

「ふむ、なかなかやりますね。しかし、やはり術式が甘いですね!こんなの水鉄砲でも相殺できますよ!」

 そう教授はいい、魔法を唱えた。


 (Water gun(水鉄砲))


 その瞬間、私たちが唱えた魔法が相殺され、あたりには煙が蔓延する。3人で同じ魔法を唱えたはずなのに、1人だけの魔法に破れるなんて。そんな現実が信じられない。


「うそだ!今のは偶然だ!」

「そうね、きっとまぐれよ」


それを聞いた教授は呆れたのかあくびをしている。その隙を見計らい私はまた魔法を唱えた。


「Flame(炎)」

「教授あなたはここが戦場と言いましたよね?その欠伸も命取りですよ。4番目魚座契約者。アリエス•エプリリス」


その言葉に驚いたのか教授は顔を強張らせた。しかし、私の正体がわかったのかニヤリと口角をあげいった。


「まさかあなたがもう1人の星契約者だったとは」

「ははは、完璧に隠しているはずだったのに、当てるとはさすがは正座契約者と言ったところです」


 これでも隠していたつもりだったが、さすがは教授といったところだ。ばれていては隠す意味もないので、ここからは全力を出すことにした。


「教授、あなたなら私の全力を受け止めまれると思います。ここからはタイマンといきましょう」

「その言葉を待っていた。わたしはあなたに敬意を示しましょう。4番目星座契約者、アリエス•エプリリスが御相手します」


 そういい、教授はどこからか魔法の杖を取り出した。その杖はとても美しく輝やく金色とピンクでできており、とても輝かしい。わたしはまけじと、持ち武器である魔法の杖を取り出し、先を教授にむけ、こう言った。


「実は前々からあなたと戦いたかったんですよ。なのでこの学園に来させましたので感謝してください」


 そういい、わたしは魔法を唱えた。これが戦いのゴングになったのか、フクロウの鳴き声があたりには響き渡るのだった。

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