9話【裏切り】
ニックス準備はいいか?」
「おう…」
俺はタイタンに合図を送った。あと5秒で鬼ごっこは始まる。他の生徒たちは教授から捕まらないと、森の中へ行ってしまった。俺とニックスは教授と戦いがために、みんなが最初いたところから動かないことにした。
「5~4~3~2~1~」
教授が数え終わった瞬間フクロウの鳴き声が響き渡る。試合開始のゴングがなったのだ。俺たちはその瞬間に2人で貯めていた術式を教授に放った。
「Hellflare(獄炎)」「Thunder(雷)」
「ほほう、2人で協力しながらかかってくるか。しかし私はここを去らせてもらう」
教授はそういい、ニコッと笑いながらこちらを見て消え去ってしまった。まさかの行動に俺らの術式は無意味なものになってしまったのだ。
「っち逃げたか…」
「俺らに怖気付いたのかもな」
「そうかもな」
俺らは2人でゲラゲラ笑いながら教授のことをバカにした。次会ったときこそボコボコにしてやる。と決めたのだった。しかし、去り際に見せたあの笑いは何か別のものを感じた。
ーーーーーアリアチームーーーーー
「はぁあ、はぁあアリアっちどこまで行くの?」
「教授がいたところからだいたい125メートルくらいのところ。端っこだと確実にバレやすい。かと言って真ん中だと捕まるリスクが高い。」
「だからここを選んだのね」
私たちがいるのはとある洞窟の中だ。空中からも見つかりにくいため、ここで凌ぐことにした。
「フクロウが鳴いてるね」
「試合が始まったんだよ」
その途端教授がいるであろう場所から爆発するような音が聞こえてきた。私たちはびっくりし、顔を見合わせた。そしてここに居る人たちで「え?」と言うしかないのだ
「あんなことする人うちのクラスにいた?」
「男子の誰かでしょ?」
「多分捕まったんだろうな」
「確かに。ってアリアっち?」
私は親友の会話など無視して洞窟の出口の方を見ている。
妙な胸騒ぎがし、洞窟の方を見て正解だった。コツコツという音が洞窟内に響き渡る。親友はクラスメイトと会話しているため、気づくわけが無い。
そして入ってきたのは、完璧に赤オレンジに染って、綺麗な紺と赤オレンジの入ったローブを着ている教授の姿が、手にはとあるマークが記されており、目の前にしてるだけで生きている感覚がしない。私は急いでこの場から撤退することを考えていた。やり合っても勝てる見込みはない。
「あんたたち逃げるよ!」
「え?なんで誰も来て…」
「いいから!私が術式を唱えるから」
私は捕まらないと、いや生きる為にも親友たちを連れて逃げることにした、が、教授は素早い動きで私たちに迫ってくる。あと指1本分ってところで術式は完成し、逃げることに成功した。
「はぁあ、はぁあ」
「ちょっと!あなたなんで逃げるの!」
ヒマリアはそう言い、私に問いつめた。
「そうだよ!アリア!あの教授未熟者なんでしょ?私たちが束になれば勝てるって!」
そういい、クラスメイト達は私を捲し立てた。私は我慢できずに、大きな声でいった。
「うるさい!あんた達には何がわかるって言うのよ!たしかに私はあの教授を未熟者といった。けれどもあれは嘘なの!教授は完全に私たちを殺すような目をしていた」
私は涙目になりながら必死に訴えた。
「けれどもあんたは天才でしょ?天才のあんたならあの教授ぐらいねじ伏せられるでしょ?」
その言葉に私はついカッとなってしまい、ヒートアップしてしまった。
「うるさいわ!私は天才なんかじゃない!」
心からそう訴えた。しかし、そんな訴えも虚しいものだ。
「はぁあ??私たちよりも剣技や魔法ができるって自慢してきたじゃない。なのに天才じゃないとか。ないわーあんた前々から嫌いだったんだよね。もう行こう、ヒマリア」
そういい、ヒマリアはクラスメイトの手を繋いでからにっこりと私に笑顔を送り行ってしまった。そんな笑顔はこれ以上ないくらい私の精神を削った。
「友達と思っていたのは私だけだったのね」
私はもう泣く以外出来なかった。のどかかれるくらい泣くしかない。私は元々人と話すのが得意ではなかった。しかしそんな中話しかけてくれたのがヒマリアだった。そんな彼女も今では友達では無い。ほんとうにどうしたらいいか呆けていると
「大丈夫か?お前」
そんな声が聞こえた。顔を見あげるとそこにはクラスメイトであるニックスとタイタンがいたのだ。タイタンは私の背中を擦りながらなだめてくれた。
「よく生きたな、偉いよ」
「う、うわーん」
私はさらに泣くしかなかったのだ。
「俺らも教授と最初やり合ったが、あれは人間じゃない。俺らは奇跡的に逃してくれたけれども他の生徒なら死んでてもおかしくは無い。」
「そうだな」「そうね」
私たちは頷いた。
「それにしても教授が一体何をしたいのか分からない」
「ひとつの推測だけれどもいいかな?」」
「言ってみろ」
私は今まで教授とのやり取りを思い出しながら教授の目的を推測した。
「私は2つ推測してて、1つ目が選別」
「選別?」
2人は何を言ってるんだこいつ。見たい目で私たちを見てきた。
「星と契約させるって言ってたでしょ?」
「そうだな。しかし何か関係あるのか?」
「大ありだよ!」
私はさっきまで泣いていたのが嘘かのように声を大きくした
「星と契約するには対価に見合った代償と器を要する」
「つまりだ!器に満たないもの達を…殺すってこと?!」
私はその言葉に静かに首を縦に振った。
「なんだってぇ?!」「それはほんとうなのか?!」
2人は焦った様子でそう言った。
「落ち着いて、あくまでも推察だから。けれども個人的にはこの説を否定するけれど」
「どうしてだ?」
「教授はなにか道具を持っていない。つまりは殺す勢いで鬼ごっこをしてるだけなんだよ。つまりは私たち生徒に実力を見せつけるため」
2人は納得したのか首を縦に降っている。しかし私も教授の目的が分からない。実力を見せつけたのであればすごい魔法の術式をみんなの前で披露するとかあるはずだ。
やはりあの教授は何をしたいのかさっぱり分からない。しかし試合はまだ始まったばっかりだ。気を引き締めてこの試合に望むとそう決めたのだった。
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