2話 封印されし謎の図書館

三等魔導書だけじゃなく、呪術書もあるとは。それに魔法とは関係ない基本的な学問に関することから、哲学小説、そして歴史書まで。さすがこの国トップの学園。


そんな感じに俺は目をキラキラさせながら図書館を物色していた。その時、一番奥の棚から不吉な気配を感じた。

その発信源を辿ると一冊の本から放たれている。

赤色の表紙で牡羊が描かれた本だ。妙にも普通の魔導書とは違う別の何かを感じる。この世には存在してはいけない、別の何かを。


その本を手に取って読むことにした。が、内容は至って普通の星座の契約についてだった。が、読んでいくうちにその正体がわかってきた。


この本は星座の契約についての本ではあるが偽者ということだ。誰かが勝手な憶測で書いたと言うこと。星座契約に関してはとても秘密裏にされており、手順などはあくまで推察でしかない。そのため世界で本物の星座契約をなせたものにしかわからないのだ。


(この本は危なすぎる。誰がこんなものを置いたんだろ。本当に謎だ。これは後で燃やしておこう)


そして俺はこの図書館を読み漁った。初めて見る本が多いけれどれも子供向けだからつまらない。そんな印象た。俺は刺激を求め、司書さんに聞いてみることにした。


「すみません。ここにある図書館で天文学関連の書物とかありますか?」


「天文学系統なら2番にあるけれども。それも読んだのかな?」


「はい。読みました。けれども欲しい情報がなくて」


「天文学に関しては情報があまり少ないからな。あ、こっちに来てくれるかな」


 俺は言われるがまま司書さんについていった。連れて行かれた部屋には扉に鍵がかかっており、結界も張られている。


「この部屋に入るには結界を破る必要があるんだが……誰も破れないんだ。この部屋の先にならあるかもしれない。教授である君になら解けるかもとおもってね」


「簡単に解けますね。何枚も雑に張られているだけなので術式がわかれば朝飯前ですよ」


司書さんの手助けしようと思い、俺は結界にを破ることにした。ひとまず結界に触れ、術式の解読をすることにした。


解読してわかったが何百年も前に張られているものだということがわかった。シンプルだがかなり雑なのと術式が百年前古いものものなため、ある意味現代での解読は難しい。


「術式がわかりました。離れてくださいね」


俺はその扉に向かって魔法をはなった。パキーンと結界の割れる音が響く。


「うそだろ。百枚以上重ね張られている結界をもいとも簡単に。あんた若いのにすごいね」


「いえいえ、あの方と比べてら俺なんて足元にも及びませんよ」


「そうか。この結界を解いてくれたんだ、この先にある本は自由に使ってもいい。けれども持ち逃げされないように追跡魔法を施せるかな?教授である君にならできるよね?」


「ここを使えるのならお安いご用意です」


「ありがとうね。鍵も基本的に教授である君が持っていていいから。結界を破ってくれてありがとうね」


 そんなことを無視して俺は早速結界の張られていた部屋に入った。ながらく誰も入ってないのか床には埃が落ちており、壁などにはクモの巣が張り巡らされた。はっきり言って本を読める環境ではない。


 とりあえずきれいにしますか。王侯貴族様からもらった白い服が汚れるなんて御免だからな。俺はさっそく作業に取り掛かることにした。


【精霊召喚】


「はーいわたくしネモスちゃんになんのよ、げ。よりによってあなったなの?」


精霊召喚に応じたのは風の精霊ネモス。こいつのには気象が荒くプライドも高い妖精だ。その反面言ってくれたことはしっかりこなしてくれるいい良い妖精でもある。


「なに?俺がいやっていうのかな?」


俺はにっこり笑いながら言った。相変わらずこいつの態度は癪に障る。


「いいえそんなことございませーん!私は何をすればいいんですか?」


「ならこの部屋埃を掃ってくれるかな?文句はないよね?」


「いや、本が破ける可能性あるけれどもいいの?」


「あ、確かに」


(なんでこんな奴が星座と契約できるのよ。頭いいのか馬鹿なのかどっちかわからない)


「結界張ればいいかな?」


「それだけじゃ足りないわ。追加で水の雫と水耐性の結界を作ってくれないかな。そうしたら効率的に掃除で切るけれども」


「わかった。こうすればいい?」


俺軽々とは 空気中に0.5mmくらいの小さな水の粒子を浮かべ、既存の結界に水耐性の術式を加えた。


「これでうまく掃除できるわ。フルウィンド!」


 そう唱えた瞬間部屋中の埃が宙をまい、床に落ちた。本や棚の奥などにあった埃など全てが宙を舞い、床に落ちたのである。それに水粒子を含んだことにより壁などの汚れも少しは落ちていた。


「おおーさすが風の精霊。風の加減はわかってるみたいだ」

「あんたいい加減その性格を治したらどうなのよ!いちいち癪に障るわ!」


「すまん、すまん」

「じゃあ私はこれでお暇させてもらうわ」

そういい、風の精霊ネモスは愚痴を呟きながら帰って行った。


とりあえず汚かった部屋を綺麗にすることはできたが思った5倍以上大きく驚いてしまう。さっきいた図書館よりもおなじくらい、いやそれ以上の本が貯蔵してある。


しかしどうしてもここに結界が張られていたことだけは理解できない。ここに知られてはいけない何かがあるとか……。


そう思った俺だがそんなことは忘れて、目的の本を探すことにした。ここにきてわかったがどの本も色褪せており文字も潰れてしまっている。


(ここの本たちを元の状態そのものにするか。ついでに追跡魔法を仕掛けておかないと)


俺は本が読みたいがためにさらにピカピカにすることにした。やはり勉強をする前は綺麗にしないと集中できないのでね。


 そうして途方もない作業が始まった。このまま、一冊一冊復元魔法を使いここにある本全てを元の状態に戻すには途方もない時間を要する。


かと言って一気にやっては一冊あたりの復元割合は下がってしまい、非効率になる。ものによってはより一層ひどくなってしまう。なのでこうして一冊一冊丁寧にやっている。こうすることで綺麗に復元することができ、本の内容をも知ることができる。


(しかし似たような方が多いいと飽きてくるなぁ)

 そうして気がつけば二日の日付が経っていた。ここにある三十万冊のうちの三十万冊全てを綺麗さっぱり新品同様の状態に復元し終えたのだ。


流石に飲まず食わず寝ないで作業をしていたため、一旦部屋を出ることにした。部屋と後にしようとしたが、入る前に結界の術式が張られていたので、念のためもう一度張っておいた。


俺以外が解けないように、より長く、より難しい大結界を張っておいた。これで解かれるわけはないだろうと安心して部屋を後にした。

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