17話【魔法試験】



「試験開始!」


 私の合図で試験は開始された。みんなは問題用紙と解答用紙を表にし、問題を解きはじめた。皆は苦戦した顔をしながら問題を解いている。


 今回の試験は筆記試験100点、実技試験100点の計200点満点だ。筆記試験の内容は術式の基礎理論となっている。私がこの1ヶ月の間に教えた内容だ。


 魔法を唱えるには術式が重要となってくる。術式を用いて魔法を唱える。わかりやすく例えるなら数学だろう。式を用いて解を求める。簡単な問題ほど式はいらなく、解もそれほど複雑ではない。 

 

 が、難しい問題ほど式は複雑になっていき、解も複雑になっていく。暗算でも解けなくはないが、正確性に欠けてしまう。


 魔法も同じだ。魔法の威力を上げるには術式をしっかり用いて正確に唱える。そうするとマナの消費を抑え、コスパよく魔法を打てる。

  

 それがこの世の魔法の仕組みだ。今回の試験では術式を完全に理解してるかを問う問題を出している。基礎というのはとても大事だ。


 基礎がわかってないとマナの使用量をただ多くするだけの量でゴリ押すだけになってしまい、マナ切れを起こす可能性がある。だからこそ今回試験範囲に出したのだ。わたしは前から生徒たちの顔を見てみるとやはりかなり苦戦しているようだ。


(これでも結構簡単にしたはずなのになぁ…わたしの教え方がよろしくなかったのかなぁ)


 わたしは心の中で色々考えながら生徒たちの試験を見守った。




 そして時計の長針はいつのまにか1周をしていた。残り時間は30分。わたしは心の中でニコニコになりながら残り時間を過ごした。何人かの生徒は諦めたのか机の上に伏している。そして時間はあっという間にすぎた。


「終了!1番後ろの人は解答用紙を前に持ってきてください」そういい、午前の筆記試験は終わったのだった。



ーーーーー午後ーーーーー


「はいはーいこれから【魔法実技試験】について説明します。試験内容は簡単です。試験監督である私と闘うことです」


 その途端生徒たちは固まってしまった。私にはよくわからないことだが、そのまま注意事項を生徒たちに言った。


「一つ目は魔法以外の攻撃は減点対象です。魔法だけで私に挑んでください。

 二つ目はわたしは反撃をしません。思う存分実力を発揮してください。

 三つ目はより細かい術式を唱えたものほど加点されていきます。

 マナを莫大に使うだけではなく、効率よく使うことも視野に入れてください。それでは1番の方順番に始めますので準備に来てください。」



「術式が甘い。次」


「マナの使用量が多い。次」


「術式はいいが、マナの扱い方が下手。次!」 



 こんな感じで生徒たちの魔法を受け続けた。防御魔法を使っているからダメージは受けないが、生徒たちの魔法はどうしても威力が低く爪が甘い。私はそれを涼しい顔で受け流す。


(やはり私の教え方がよくないったのかな)


 そんなことを心に呟きながら残りの試験をおなったのであった。

そして試験は無事人終わりわたしは生徒たちに告げた。

「皆の者!試験お疲れ様だった。結果は1週間後に配られると思うから今日は帰宅してよい!」

 生徒たちは魂が抜けたような顔をして帰路を辿るのだった。


(あれ?今回の試験そんなに難しかったかな?)

 


 

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