6話【術式】


「ふわ~」

 とてつもなく寝むたい。昨夜は急に襲われたために睡眠時間が削られてしまった。睡眠時間は長くしておきたかった。その理由は今日から本格的に授業をしなければならないからだ。俺は不安と緊張でまたも胸がいっぱいだ。

 

 「そういえば」

 

 俺はとあることを思い出しバッグから取り出した。そうそれは4日前にアリアが落としていったプリントだ。実はこれ防御術式のプリントだ。しかもかなり綿密に書いてある。

 

「きょうの授業の時に渡しておかないと」

 俺は忘れる前にあらかじめプリントを手に持っておくことにした。

 

 そして俺は教室についた。しかしまたも扉を開けるにとまどってしまう。

 

「はぁあ」

 

 俺はため息をしてから、前回と同じように星座契約者の真の姿に変身した。この姿になると代償として体に変化が伴う。その代わりにいろいろメリットもあるけれど。


 そして私はまたも扉を思いっきり開けた。ばたんと扉が閉まる音が教室内に響く。生徒たちはそれに気づいたのかあしばやに席に着いた。


 そして私は前回と違うことに気がついた。生徒たちは授業の聞く姿勢がなっていることである。前回とは大違いだ。私はますます緊張してきたが、一回深呼吸をしてから授業を始めた。

 

「今日は術式の基礎についてやっていきたいと思います」

そのとたん生徒たちは笑い始めた。まさかの基礎からやるなんて思ってもいなかったのだろう。しかしそんなことは気にせず、私はとあることを気になって生徒に質問した。

「そこの君。名前はなんだ?」

 

「ソリア・アイリです」

「ソリア・アイリさん、ファイアボールの威力を上げるにはどうした方がいいかな」

 ソリアさんは嘲笑ながら言った。

「そんなの簡単ですよ。使用するマナを増やせば威力は上がります」

「正解だ。なら他にはあると思うかい?」

 

「もう一つは術式を長くすることです。そうすることで少ないマナでも、より効率的に威力を上げることができます」

 

「完璧だ。もちろん双方にデメリットはある。威力を上げるために、マナの使用量を上げればマナ切れを起こすかもれない。術式を増やせば相手にスキを見せつけることになる」

 

「ここでもう一つ問題だ。マナ切れを起こさず術式を長くせず、威力を上げるにはどうしたらいいか?」

 私ながら意地悪な問題を出したと思う。内なる私がにやけている。

「え~と。わかりません。」

「簡単な話だ。術式を少し長くし、使用マナを少し多くすればいい。例えば10センチのファイヤーボールを作りたいとする。その人は何もなしに即時に打つと1センチくらいのしか作れない。しかしマナを5割使うことで10センチにすることができる。けれどもこれだととても燃費が悪い。なら術式を長くすればいいと思うが詠唱が終わるまでに2分かかる。術式とマナを臨機応変に使うことが大切だ」

 

 生徒たちは心に響いたのかみんな黙って聞いてくれている。私は続けていった。

 

「大切なのは臨機応変に対応すること。これからここにいる皆は戦場に駆り出されるかもしれない。そんなとき相手は術式を唱え終えるまで待ってくれやしない。いつでも自分の命を刈り取ってくる。自分の命は自分で守るんしかない。そのためには、、」

 

 私はためてからにっこりと笑いその言葉をいった。

 

「星と契約するんだ」

 

みんなは目を丸くして私を見ていた。それもそのはずだ星と契約するにはかなりの難易度を要する。

 

「教授!そんなの無理ですよ!」

1人の生徒がそういった。

 

「無理?君はやってもいないのに否定するのか?」

  その生徒は何も言えないのだろうか黙り込んでしまった。

 

「私は君たちに無限の可能性があると思う。それは私が保証する。だからこそ、君たちは星と契約する、いやして欲しい!。これはあくまで私の願望だ。これは君たちの判断に任せるとしよう。ここから先は過酷な鍛錬が待ち受けている。もしかしたら地獄を見るかもしれない。それが嫌な生徒はこの教室を出ていっても構わない。いつだって退出しても構わない。だが、星と契約したいと言うなら、私に着いてきなさい」

 

 私は真剣な眼差しでいい、ひとつの魔法を唱えた。

(signum(星座))

 

前回失敗した星座を再び顕現させた。教室は暗闇に包まれ、上には綺麗な夜空が醸し出されている。そしてみんなは目を丸くして私を見ていた。それもそのはず、みんなは前回見えなかったであろう、私の契約星座が見えているのだから。金色の牡羊が教室を駆け巡っている。

 

 (私の研究は成功したのか…良かった…)

 

わたしはそう安堵した。しかし、そんな暇もなくこの魔法は使用するマナが大きい。そのためわたしはこの魔法を解除した。そしてわたしはこう言った。

 

「どうする?わたしについて行くものはこの教室に残るんだ」


 そういい、教壇を思いっきり叩いた。教室はその音にびっくりしてかシーンと静まり返った。しかし、誰1人教室を出ていくものはいなかった。わたしはそのみんなの覚悟に心を打たれてしまった。

 

「みんな私について行くって事ってことだな?」

わたしはみんなの意思を知るために一応確認した。首を縦に振った。しかしみなは不信感を抱いているだろう。こんな実力もあまりわからない人についていっていいのか、星と本当に契約できるのか。だからわたしはその不信感を拭うためにもとあることをやることにした。

 

「次の授業はわたしと戦って勝つことだ!私が負けたらこの学校を去る!明日月が輝く夜に学園近くの森に集まれ!」


 私は力強くそのことを言い、この教室を退出したのだっ

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