4話 何で怒鳴られるの??

「あー疲れる。なんで俺がこんなことをしないといけないんだ」

 俺は任せた精霊に愚痴りながら術式の研究をしている。事の発端は2時間前だった。俺は初の授業で自己紹介が終わり、扉に八つ当たりすることができたので、師匠様と少し話してから、自分の戻り与えられた部屋まで戻った。ゆっくりしたいと思い、図書館で借りた本の勉強をしようとドアノブに手をかけたその時だった。


「アリエス教授」

後ろから声をかけらたのだ。振り向くとそこには40代くらいの巨漢な男性が。白髪混じりの黒髪に茶色い目をしており、茶色のローブを背負っている。全体的に茶色が多い、そんな男が声をかけてきたのだ。体格差もかなりあるため、俺からしたらその男はクマに見える。


「初めまして、アリエス・アプリリス教授」

「初めまして。私の名前を知ってるとは思いませんでしたよ」


私はその男と握手を交わした。

「あはは!王侯貴族様からの推薦された教授ということで一度会ってみたく伺いました。申し遅れました、わたしは精霊学専攻のヴィデア・セロムといいます。お見知り置きを」


ヴィネア教授と名乗った男は爽やかに挨拶をしてきた。俺はマシな教授もこの学園にはいるだと思い安堵した。しかしその期待は秒で裏切られてしまう。

「先程の授業で星座契約者と名乗ったそうですね?」

俺は少し困惑したが、教授たちに隠す意味もないので素直に答えた。


「え、はい。実際に星座と契約してますので」

「ふざけるな!」

そんなヴィネア教授の怒号が廊下に響いた。急に怒鳴られた俺は肩を竦ませてしまった。そしてヴィデア教授は続けてこういった。


「お前みたいな未熟者が星座契約者と名乗るなど図々しい。立場をわきまえろ。それにお前みたいな若造が星座と契約してるなんて嘘に決まっている。虚勢をはるな」


と謎に説教されてしまった。俺は俯いて何も言えないまま、説教を受けるしか無かった。こうして1時間にも及ぶお説教がはじまった。

「虚勢を張るなんて人間として〜」や「そもそもこんな若造が王侯貴族様に推薦されるわけない」


など、否定するものが多かった。今でもなんで怒られていたのか納得がいかない。しかしどうにも、学園では俺が星座契約者だということが信じられていないようだ。やはり若さを理由に皆は信じてくれないようだ。そしてヴィデア教授は外の倉庫十個全ての掃除を頼んできた。完全な嫌がらせだ。


「あのヴィデア教授。初対面なのにあんなに怒る必要ないだろ。星座契約者なのは事実なのに、次会った時には隕石でも降らせてやろうかな」

 俺は持っていた本を振り回しながら、星の妖精であるステラに愚痴を言っていた。ステラは俺が知る中で1番優しく、頼もしい精霊だ。


「しょうが無いですよ、ご主人様。ご主人様の実力は確かなものですが、オーラが漏れ出ているので、相手は未熟者と受け取れちゃうんです。そんな人が星座契約者なんてこの学園のプライドが許してはくれませんでしょうし。それに星の妖精である私でさえ、正直認めたくはありません」


 ステラはそういった。最後の一言が少しイラッときたが、言っていることは正しい。確かに俺のオーラは漏れ出ている。俺があえてオーラを漏れ出しているのは実力を偽るためだ。魔法使いなどはその実力をオーラで決めつけている。


偽ることで無駄な争いを防ぐことも出来る。実力を見透かされることもない。実力を見誤った状態で相手が舐めてかかったときには簡単に返り討ちにすることができる。

そう考えていた。


が、急激に先ほどステラに言われたことが段々とムカついできた俺は拳を突きつけ、1発だけ殴ってやろうとした。が、精霊には物理攻撃は効かない。精霊というのは光でできた生物だ。そのため姿や形を見ることは出来きるが、決して触れることは出来ない。


「ステラ、お前が精霊でよかったな。精霊じゃなかったら今頃ボッコボコにしてたよ」

 俺はにこやかにそういった。ステラは慌てた様子で

「ご、ご主人様〜?顔が全然笑ってませんが?!しかも私を殴る気満々ですね?!」

「うんうん!当たり前だとも。とにかく君は喋ってないで、私の頼んだことをしてくれるかな?」

「は、はーい」


そういい、テラスは倉庫の掃除を続けた。

(みんなをギャフンと言わせるのにはどうした方がいいのかな)


俺は空中に浮ながら、ずっと考えていた。契約星座を顕現させたが、多分みんな信じてくれなかっただろうし…。俺はどうしたらいいのかわからなくなり、自信がなくなってしまった。


 こうして俺が学園に来て三日が経過していた。最初の2日は図書館に籠っていたために、ほぼ何もやってないに等しい。そのためこの学園の情報を得られていなかった。しかし嫌なことに、この数時間で内情がわかった気がする。


 確実に言えることは生徒も教授も、夜の森みたく闇が濃く、とても腐っていると言うことだ。プライドが高く、相手には敬意を払わない。そしてその実力も見定められない。この学園の皆は二流以下の魔法使いであるとこれは断言出来る。


 そしてもうひとつは超実力主義だということ。この学園の強者は弱者になら何やっても許される、それがいじめだろうと、カツアゲだろうと。本当にこの国トップの学園なのにとても腐っているところだ。そう考えているうちに吐き気がしてきた。


俺はこんな腐った現状をどうにかすることに決めた。汚いゴミがある部屋は掃除しないといけないのでね。そしていつしかみんなにも認められるような一流の魔法使いに、希望の星になれる、そんなのに俺はなりたい。


 (ご主人様かなり悩んでらっしゃいますね…一体何を考えてるのかしら)

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