5話【ストーカー】
流れ星が降り、天の川が見える夜。俺は四時間かけようやく倉庫の掃除が終わり目的の場所まで移動していた。
「はぁあ、嫌がらせはよしてくれよ…なんでこんな面倒ごとを押し付けられるのよ」
俺は昼間あったヴィデア教授から倉庫の掃除終わりばったり会った。今度は用具の点検を求められ、魔法で目の前を照らしながら向かっている。
どうやら今度魔法試験があるらしく、そこで使う用具を点検しろ、とのことだ。
「やっぱりあいつの頭に星でも降らせようかな。絶対に許さない」
「そんなことしたらここら周辺にクレーターができちゃいますよ」
ステラは慌てふためきながらそう言った。
「大丈夫、大丈夫。あのおっさんにあたるように大きさを調整するから」
「なら星である必要なくないですか?!」
「あ、確かに」
(本当にバカなのかな)
そんなことを話していたが、後ろから誰かの気配を感じた。マナで相手の気配を探るに只者では無い。
俺は相手にバレないよう、小声でステラに言った。
「ステラ後ろから気配を感じ取れるか?」
「ええ。誰か私たちの後ろを付いてきているわね。ここの生徒の中ではある程度実力者だわね」
「俺も全く同じことを考えてた。ともかくステラお前は住処に戻ってろ」
「ええわかったわご主人様」
そういい、ステラは窓をすり抜け、星に戻って行った。相手はなるべく音を立てまいと、必死になって気配隠しているみたいだ。俺は少し嫌がらせをすることに決めた。そいつから私が視界に消えた時に、魔法で後ろに回って小突いてやろうと、そう決めた。
そして、あと五十メートルくらい先に曲がり角があるのでそこで実際にやってみることにした。四十、三十、二十、あと少しで曲がり角のところで相手の気配が消えた。俺は慌てて警戒をしマナで気配を探った。
「上!」
その瞬間上から魔剣が飛んできた。俺はそれを難なくよけ、それを抜いた。その魔剣は砂が飛ぶように消えていった。さっきからずっと気配を隠すなんてタチが悪い。俺は相手に聞こえるよう大きな声でこういった
「さっきからずっとついてきてるのは知っている!さっさと姿を現したらどうだ!」
まさか師匠様が特異クラスの授業後に言っていたことが本当になるなんて思ってもいなかった。
時は遡り、授業終わり
「お前これから数日は警戒をしておいた方がいい。何せあのクラスは特異クラス。刺激の欲しさに色々な教授を狙って襲うやつが多いからな。わしも過去に何回か襲われておる」
師匠は得意げな顔をしながら言っていた。なんで得意げな顔をしているかは分からないが俺はとあることが気になり質問してみることにした
「師匠様は勝ったんですか?」
「ああ、もちろんだとも。生徒からしたら、マナのないただの老いぼれを相手にしているようなもんだ。だから舐めて挑んできたんだろう。わしはそんな奴らに痛い目に合わせたわい」
「何したんですか?」
師匠様はにこにこしながら答えた
「まずは拘束魔法を施してから、星に括りつけて重力を反転させて宇宙までとばせたわい!あいつらのあの時の顔は最高だったな。地面から遠のくほど、泣いてチビってて、面白かったわい」
想像するだけでもおぞましいことをしていた師匠様。俺も一回だけ罰として受けたことあるが恐怖のあまりもう二度と受けたくない。地面から宇宙まではあまり大したことないが、地面に降りる時が鬼門だ。最初はゆっくりと進んでいく、だが直ぐに体験したことないくらい猛スピードになり、地上に戻される。
師匠様が得意げな顔をする理由も頷ける。そして師匠様は立て続けにこういった
「しかし、あの剣士は強かった。魔法も剣技も優れた技術を持ち合わせていた。所詮子供だからか、臨機応変に対応する能力は持ち合わせていなかったがな」
「そうなんですね〜」
俺はどうでも良くなって流れるように返事をした。
「確かそいつの名前はアリア・フォルティスだったかな。白く短い髪に、黄緑の瞳に鋭い目つき、左手だけで剣を構えていたな」
俺はその師匠様の言葉を思い出した。気配がバレてると知ってか観念して姿を現した。目の前にいるのは師匠様が相手した勇者と瓜二つなこと。闘ったことがないはずなのに、形や動きが重なって見える。親と同じように左手には剣を持ち、鋭い目で俺のところへ歩み寄っている。
俺はすかさず星座契約者の姿になり、右手には魔法の杖を持ち、準備万端だ。それが戦いの火蓋を開けたのか彼女は素早く俺の懐に入り、横に切りつけた。しかし、私はそれを見極め、軽く後に下がった。剣は空を切る。
「今のでやれると思ったけれど」
「舐められているなんて心外。そのままじゃ足元をすくわれるよ?ね、勇者の娘である星の契約者アリア・テスタス」
私は冷や汗をかきながらそういった。
「そこまで知ってるのね。心外だわ。そしてさっき私が攻撃して思ったことは想像以上に強いこと。今までの教授なら避ける暇もなく死んでいったのに」
「そうだとも。けれども私は星座契約者なのでね」
空気が少し揺らいだ。正直このままでは分が悪い。彼女の動きはとても洗練されており、隙が見えない。長年努力した経験が培われているのだとわかる。オマケに私は今魔法の杖を持っている。この杖はプラチナと鉄の合金で出できているため、壊れはしないが、勝てるわけではない。私はすかさず魔法の杖をしまい、魔法で1本の剣を取り出した。
この剣は今は亡き父親が持っていた大切な剣だ。ごく普通の鉄で作られているが、大事なもには変わりない。
「ふ、何を出してくると思えば、普通の剣?私を舐めているの?」
「いや、舐めてはいない。その動きに敬意をはらい、この大事な剣を使うまで」
そして彼女は鼻で笑いながら
「昼間あなたのマナを見ましたけれども、どうやらマナがないようですね?」
そう言われた俺は肩を震わせた。
「図星ですね。なら私が負けるどおりがありません。たとえそれが大事な剣だとも、私の剣よりかは性能は劣っているのは確か。なにせこの剣は3等級の剣だもの。喜びなさい、今夜があなたの命日になりますよ」
そういった瞬間空から黄色い流れ星が降ってきた。それが再び戦いの火蓋となったのか、私と彼女は同時に動くのだった。
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