14話【一騎打ち】
やはりこの教授抜け目がない。2回目の戦いとなるが、今回は訳が違う
(残り時間は大体9分くらい。このままだと体力が無くなってしまう。)
わたしは体力を温存するためにも、最小限の動きをしている。教授の攻撃はとても重いために体力の消費が激しい。
(ここは1回後ろに下がるしかないのか)
私は1回後ろに下がり、体制を立て直すことにした。が、教授は素早い動きで私に突っ込んできた。わたしは焦らず冷静に考える。
(今迄の流れならきっと後ろから来る。なら私は)
先程のふたりを捕まえる時と同じ動きをすると踏んだわたしは横に避けることにした。そしたら案の定教授は同じことをしており、私の背中をタッチできると思ったのか、体制を崩した。
わたしはそのすきに距離をとり、体制を立て直すことにした。
「はぁあ、はぁあ、あと8分くらい。持ちこたえて」
わたしは既に息を切らしている。
全力を出しているので仕方の無いことだ。しかし、体中が悲鳴を上げているのはとても辛い。足を動かそうにも重りが着いたみたいにおもく、腕を動かそうとしたら、濡れた服を着ているみたいにおもい。
このままだと私が負けてしまう。私はその場で深呼吸をし、呼吸を整えた。だがそんなのを待ってくれる教授では無い。1秒たりとも気を抜いては背後をとられてしまう。
わたしは教授の剣筋をみながら、剣で防御した。魔法を使う余裕なんてない。教授の剣をよけるのが最優先だ。互いの剣と剣が混じりあい、辺りには火花が飛び散る。
私の剣は何度も重い攻撃を受けてるせいか摩耗されており、刃こぼれを起こしている。さらには何ヶ所かヒビが入っており、いつ折れてもおかしくはない。私はそんな不安を抱えながら教授と剣を交わした。
そして何分たったか分からない。体力はほぼなくなり、剣のヒビら更に拡がっている。何度も何度も教授と剣をかわした。すると
(ぱきーん)
何かが割れる音が響く。私の手元を見ると剣が真っ二つに折れているのだ。何年も一緒にしていた私の大切な剣がここで折れてしまった 。
わたしはもう負けと悟ってしまった。少ない時間だったが、教授にはいいことを教えてもらった。私はもう諦めて1回後ろに下がってからその場に剣を刺し、大の字に転がってた。汗がすごい髪。
偶然なのか夜空には雲ひとつもない綺麗な夜空が私の瞳には写っている。目の前には蟹座が写っておりとても幻想的だ。
(私もせめて、星座と契約したかったな)
そんな心残りを考えていた。そしていつのまにかクラスのみんなは教授の元に集まり結果を聞いた。私はそんなのはどうでもよく夜空を眺めている。結果なんて既に分かりきっている事だ。
「結果を発表しますね」
みなが固唾を飲みながら見守ったが、みんなも予想は着いている。どうせ負けたんだな。教授の勝ちか…皆がおなじことを考えた。しかし結果は有り得ないものだった。
「私の負けです」
「え?」「は?」「うそ?」
みんなが同じような声を出した。もちろん私も同じことを思った。まさかの私たちが勝ってしまったのだから。そしてみんなは互いの顔を見てから、盛大に喜んだ。誰もかもが諦めていたこの試合がまさか教授に勝利してしまったのだから。わたしは感極まって気がつけば視界がぼやけていた。
「うそ…そんなわけ」
目からは大粒の涙がたくさん溢れる。今日まで努力していて良かった。努力は無駄にはならなかった。そんな数々の努力が報われたのだ。そんな中教授は私の所へ歩み寄り隣に座った。
「アリアさん。あなたの剣技には毎度おどろかされますよ。本当に今までよく頑張りました。」
そう言ってくれた教授は私の心の中では。本当に輝いている。わたしは泣き顔を見られたくまいと涙を引っ込め、隣を見る。すると顔を斜めにして優しく微笑んでくれた。そしてから教授は子供を宥めるように優しくいった。
「私は努力する人が好きなんです。自分に打ち勝つため何回壁に当たろうともその壁を乗り越えて、昨日の自分を超えようと奮闘している。そんな人カッコイイと私は思いますよ。
魔法であろうと、剣術であろうと、武術であろうと、そんなの関係ないですよ。努力しようとしてる姿がとってもかっこいいんです」
そんなことを言った教授だが、私は少し恥ずかしくなってしまい、そっぽ横を向いた。そして教授は話を続けた。
「ありがとう、アリアさん。そして今までお疲れ様」
そんな労う言葉をくれ、私の頭を撫でてきたのだ。教授は私の中の希望で輝かしいいちばん星だ。わたしは教授の顔を見ながらこういった。
「ありがとうございます。その言葉がいちばん嬉しいです。教授は私の中で輝かしいいちばん星のように輝いていますよ」
それを聞いた教授は恥ずかしいか、視線を横にそらした。なんだか素直になれない子供みたくとても可愛いらしい。そして教授は最後に
「約束通り、わたしはこの学園を去ります。短い間ですけれどありがとうございました。私がもっと長く教授をやれていたのだったら。わたしは生徒たちを最強にすると決めました」
そんな言葉が私の耳を響くのであった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます