12話【裏切り者の末路】

(流石に広いな)

 わたしは森の中を駆け巡り、生徒たちを探している。この試合は鬼ごっこだ。タッチすれば済む話だが夜なため、見つけるのもひと苦労だ。耳を澄ませ。そう自分に言い聞かせてから、全神経を耳に当てた。


「いた。ここから西に100メートル先だ。」


 私は体を右に捻り、すぐさま走りだす。その間に生徒たち数名に出会ったのでついでに捕まえておくことにした。そしてそいつらにはきっちり課題のプリントを渡している。


 泣くような目で私を見ていたがそんなのは気にせず、森を駆け巡った。西にいたであろう生徒はまた別の場所に移動した。まだ半分以上は残っている。


このままだと時間が足りない。あと0時までは1時間30分はある。そこでわたしは一つの結論に至る。

(あ、これ空中から探した方がいいのでは?)


 わたしは森の中からだと確実に音でバレるのに気づいたため、空中から探してみることにした。地面を力強くけり、原理はわたしもよくわからないが、空中を浮いている。今度こそ神経を耳にあてた。


「見つけた!」


わたしはその場所までひとっ飛びで向かう。内心焦りながら向かっていたため、額からは汗が滲み出てている。


「君たち〜そこいるのバレてるよ〜」

私はさっき逃げたであろう2人を背後からタッチした。その2人はびっくりしたのか、悲鳴をあげた。その悲鳴はとても大きく、この森に響きわたる。


「ぎゃぁぁぁぁぁ」「うそ!いつのまに」


そのふたりは瞬時に魔法をはなったが、術式が甘いためか明後日の方向に飛んで行ってしまった。わたしは手加減するつもりは微塵もないため、すぐさま2人を捕まえ、2人には裏切りの罰として2倍の課題を渡してから、わたしはまた空に戻る。


涙目になっているが、そんなのはわたしからしたらどうでもいいことだ。今は試合の真っ最中。同情してる暇などわたしには無い。


 そしてどれほどの時間が経ったかわからない。月はいつの間にかわからないが、15度くらい傾いていた。つまり1時間は経ったと思われる。残りの生徒はあと5人程度。


そのうちの2人は今捕まえ、課題を渡したところだ。詰まるところ残りは3人。そしてその3人が誰だかもうわかる。最初に魔法を打ってきた、ニックス、タイタン、そしてこの間襲撃をしてきた、星の契約者アリアだ。


この3人ともかなりの強者だ。ニックスとタイタンの実力をわたしはまだあまり把握していない。ただ試合開始後直ぐに放ってきた術式はかなりのものだった。


そのためかなりの苦戦を強いられるとおもう。とりあえずその3人をさがすことにした。しかし、15分飛び回ったがどこにもいる気配はしない。時間が残り少なったために、流石にやばいと思えてきた。が、そんな時わたしは一筋の魔法が見えた。


(フレア…?しかもあそこは最初いたところ)


 私は確かにずっと外周ばかり探していて真ん中は探していない。そのため魔法が放たれたであろう場所に向かった。そこにいたのは予想してた通り、ニックス、タイタン、アリアだった。いつのまにかパーティーになってたみたいだ。


「教授、あなたが全然見つけてくれなかったので、魔法を放ってあげました。感謝してくださいな」


 アリアがそういった。謎の上から目線に腹が立つが、今はそんなことを言っている暇などない。残りは13分。この間に決着をつけなければならない。ここまできたら全力を出すことにした。有り余る力を出し切るために、虚空から杖を取り出した。相変わらずの美しさに見惚れてしまうが、そんなことをしている暇はない。そして生徒たちは各々口を開いた。


「教授、俺の全力を受け止めてくれ」

「教授とやりたくてワクワクしてたんだ」

「再戦といきましょうか、教授」


 わたしはその言葉に応えるようににっこりと笑いながら

「あぁ、ラストゲームといこうじゃないか」


最後の試合が始まるのであった。この特異クラスみんな期待してたであろう。このクラスの三強たちが結託して1人に立ち向かう。そんなゲームみたいな場面が今現実となり、戦いの火蓋はきられるのであった。

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