概要
もう戦争は終わったのに、夫は帰ってこない……
大陸全土を巻き込んだ戦争が終わって3年。
かつて帝国と呼ばれていた強大な国は革命が起き、共和国となった。敗戦国の屈辱と古き価値観が崩壊した混乱の社会の中、片田舎で息子を育てながら姑に仕え、傾きかけた男爵家を切り盛りするエレノア。
そんな彼女の元にある日突然、待ちに待った夫ヴィルヘルムが丸6年振りに復員してくる。脚に酷い火傷を負って。だが、彼は本当にヴィルヘルムなのだろうか。なぜなら彼には……
『エレノア、マルベリーの花言葉を知ってるかい?
……共に死のう、だ。』
疑惑と狂気に侵されてゆくエレノアに、更なる悲劇が襲いかかる。
▲殺人、死体など、また性的な内容が含まれます。あまり詳細な表現はありませんが、
おすすめレビュー
新着おすすめレビュー
- ★★★ Excellent!!!戦乱の時代に起こったどす黒い愛の行く末
まず初めに、古き良き時代の洋画を思い起こさせるような物語でした。
少し違いますが、映画「イングリッシュ・ペイシェント」を思い出させるくらい雰囲気が似ていました。
架空の国家ですが、時代背景がWW1~WW2のような雰囲気です。
舞台がの国が、当時のドイツ帝国とロシア帝国を合わせたかのような最悪な国家です。
しかし、舞台はあくまで、キャラクターの動きを補完する為だけに作られています。
物語は、愛や憎しみ、劣等感、後悔などが入り混じっており、人間の醜さ、愚かさ、刹那的な行動などがしっかりと描かれています。
ドロドロの大人の恋愛が見たい人にお勧めです! - ★★★ Excellent!!!最後まで見届けずにはいられない、三人の男女の悲劇的な結末
三位一体のように育って来た男女は、いつまでも三人ではいられませんでした。ヴィルヘルムとエレノアは結ばれ、ヴィルヘルムの双子の弟であるリヒャルトの思いは宙に浮かんだまま、大陸全土を巻き込む戦争に入っていきます。戦争からエレノアのもとへ帰還したヴィルヘルムは本当にヴィルヘルムなのでしょうか?
戦後の動乱の中、ヴィルヘルム、リヒャルト、エレノア、それぞれの屈折した思いが克明に描かれていて、全てが明らかになってゆく五章~終章の怒涛の流れはどうしても読むのを止めたくない、そんな気持ちになってしまいました。
タグにある通り、バッドエンドのヒストリカルロマンスとなります。しかし最後まで読み終えた印象と…続きを読む - ★★★ Excellent!!!時代の荒波に翻弄された3人の幼馴染の運命
この作品を読むと、まず第1次世界大戦前後の不穏なヨーロッパの雰囲気たっぷりの世界観に魅入られます。ヒロイン・エレノアは、そんな時代の荒波に運命を左右されつつも、傾きかけた婚家を切り盛りし、過去の栄光を忘れられない姑と幼い息子を守って、強く賢く生き抜いています。それだけでもエレノアに共感できるでしょう。
でも私が最も惹きつけられたのは、エレノアとヴィルヘルム、粗筋には登場しないもう1人の幼馴染の3人が愛に翻弄されるところです。そこには今流行りの溺愛とかスパダリとかは登場しません。むしろ切ない気持ちが溢れますが、重厚な世界観と相まってむしろそこがいいのです。
2024/10/10追記:完結を待っ…続きを読む