宰相の娘であるパトリツィアと王太子ルイトポルトは幼馴染で婚約者。
成長した今も愛し合っている。
だが王太子ルイトポルトは、権力におぼれる宰相を倒し、国政を正すことを望んでゆく。
しかしそれは、愛するパトリツィアを失うことを意味していた――
令嬢と王太子の恋愛を描いた物語ではありますが、
貧民窟から抜け出そうとする人々や、政治を私物化する宰相を排除しようとする勢力など、
現実的な要素が複雑に絡み合う物語。
世界の歴史の中で民主化の名のもとに更迭された貴族や王族はたくさんいたわけですが、
そこにはきっと、こうした悲劇の物語がいくつもあったのではないかと気付かされます。
いや、まだ悲劇になると決まったわけじゃないんです!
でも愛し合う二人の間に立ちはだかる壁があまりに高く、
どうやって二人が幸せになるのか想像もできず、ハラハラさせられるのです!
しかし主役二人だけを応援したくなるわけではなく、
登場人物全員に人生があり、哲学があり、手に入れたい何かがある。
良い部分も悪い部分も含めて全員が人間であるという描き方が秀逸です。
ロマンティックな恋愛だけでなく、人間の醜い部分もしっかりと描き出す本作は、大変読みごたえがあります。
恋愛小説としてだけでなく、人間ドラマとして魅力的な本作を、ぜひ読んでみてください!
王道でありながらも奥深い王宮恋愛物語。
王太子と公爵令嬢という身分差、愛と義務の狭間で揺れる主人公たちの葛藤が、読者の心を強く揺さぶります。
ルイトポルトとパトリツィアの関係だけでなく、周囲の人物たちの思惑や愛憎が物語に深みを与え、最後まで目が離せません。
中世ヨーロッパを舞台にした物語であり、作者様の豊富な知識による歴史的な背景や文化が物語に彩りを添えています。
そして何より作者様の最も得意とするところである『ドロドロの愛憎劇』『倒錯したエロティシズム』も見どころ十分です!
大人な恋愛小説が好きな方、愛と義務の狭間で揺れる主人公の物語に興味がある方におすすめです。
貴族社会の恋物語だけでなく、政治的な陰謀や人間ドラマも楽しめる作品です!
本作は、大人向けの恋愛小説。
中世ヨーロッパ風の貴族社会を舞台に、繰り広げられる恋愛関係を中心に据えた人間ドラマです。
互いに想いあっていて婚約までしているのに、王太子ルイトポルトと公爵令嬢パトリツィアの恋は、なかなか成就しない。そんなふたりのじれったい関係がすごくいいです♪
地位や資金力など、登場人物たちには恋愛問題だけでは語りきれないトラブルがつきまといます。
先の読めない展開の連続で、思わず次のエピソードをクリックしてしまうこと間違いなし☆
恋愛模様はもちろん見どころ――なのですが、作者様のお作を読んできて毎度感嘆するのは、作者様の書かれる中世ヨーロッパ風世界観の素晴らしさです。
すごくリアリティがあって、起こること全てに納得。この世界観があるからこそ、メインに据えられた登場人物たちの恋愛模様が活きるんだなと思います。
王太子ルイトポルトと公爵令嬢パトリツィアは、小さい頃からの婚約者。
仲も良く、お互いに愛情を感じています。
けれども、パトリツィアの父である宰相は、権力をほしいままにし、王太子ルイトポルトとは政敵のような関係になってしまいます。
パトリツィアを愛している、けれども、国を宰相の思うがままにさせるわけにはいかない。
王太子ルイトポルトと同志、宰相と協力者、彼らの陰謀に女性たちも巻き込まれ、心も体も泥沼の事態に……
貴族社会の、華麗さの後ろの闇を描いた、とても興味深い作品です。
ぜひおすすめします。
国王夫妻の怠惰と放蕩、それに乗じた宰相の国政私物化。
ついに、王太子ルイトボルトは側近のアントンと共に、改革を目指し、クーデターを計画します。
しかし、問題は、ルイトボルトの婚約者(のちに妻)は宰相の娘。
そしてアントンの妻も宰相一門であること。
彼らは、クーデター後の彼女達の運命を思い、敢えて、距離を置こうとしたり、せめて妊娠させることのないようにと策を講じますが……。
果たして、彼らを愛する女性達は、描いたシナリオ通りに動いてくれるのでしょうか————。
そして読めばわかりますが、この側近アントンというのが曲者で。
理想に燃える高潔な男なのか、性にだらしないダメダメ男なのか、物語を大変盛り上げてくれています。
そんな、人間らしさがいっぱいの、愛の物語です。