■あらすじ
子供の頃から兄弟のように仲良く育った王太子ルイトポルトと公爵令嬢パトリツィア。
王を傀儡として好き勝手に振る舞う宰相の思惑によって婚約、結婚。
しかし、宰相を除きたいルイトポルトは、
パトリツィアを愛しつつも、
宰相の思惑通りに彼女を抱くことは出来ず、苦悩は深まっていく。
一方、ルイトポルトが父を断罪しようとしていることを知ったパトリツィアは行方をくらます。
果たして、二人の愛はどこへ行き着くのか……?
ドキドキしながら、見守っていきたいと思います!
■おすすめポイント
(1)圧倒的“ままならなさ”!!
ルイトポルトは幼馴染みのパトリツィアへの愛を貫きたい。
でも、政敵である彼女の父の事を、国の将来の為に除かねばならない。
愛にばかりかまけてはいられないのです。
そうとわかりながらも、迷う。あがく。
パトリツィアも、父と幼い弟、そしてルイトポルトへの愛の中で、
現実を見つめ、決断を下す。
誰もがきっと己の想いに忠実に生きたい。
しかし、それが様々な現実や柵ゆえにままならず。
ままならぬ中で藻掻く姿、生き抜こうとする姿が非常にリアルです。
一人ひとりの生命の迸りに、きっと胸が熱くなるはず!!
(2)展開される人間ドラマ
この物語は、ルイトポルトとパトリツィアの恋愛が主軸に据えられています。
その狭間で、様々に“濃い”登場人物達の愛憎や愛欲の物語も展開されています。
一方、貴族社会と、新たに台頭してきた民主派とのせめぎ合いという、
時代の変わり目に展開される複雑な人間ドラマにもなっています。
様々な読み方ができ、一話読むごとに、
登場人物の思いや、彼らを取り巻く状況など様々に思い巡らされる、
非常に厚みのある、読み応えたっぷりな物語です。
■こんな方向け
☑洋風の世界観のお話が読みたい方
☑濃~い恋愛ドラマが読みたい方
☑複雑に絡み合う人間ドラマが読みたい方
欲望にまみれた癖の強い登場人物が多いので、主人公の王太子ルイトポルトと妻のパトリツィアが霞んでしまうのですが、この二人は物語の良心といえます。
生涯この人を愛すると誓ったものの、混乱した国の情勢が、二人が愛することを許してくれません。
それでも愛を貫くことができるのか。
が、大きなテーマとなるわけですが……。とにかく一筋縄ではいきません。
様々な人の思惑が入り乱れ、絡まり、複雑な色を帯びていく。善良だから生き延びられるわけでなく、悪だから成敗されるわけでもない。
勧善懲悪ではないところが、実にリアルです。
そして、人の弱さや甘さ、冷酷さ、信じたい心、守りたいもの、欲望、身勝手さ。
人が持つ様々な側面を見るうちに、優しさが喜ばしくあり頼りないものでもあり、身勝手さが腹立つことでもあり愛おしくもある。
人間の中にある二律背反を感じて、クズ男でさえ応援したくなるのですから、不思議です。
国を治めるというのは、実に大変な仕事です。
次々と襲いかかる試練を乗り越え、ルイトポルトが愛するパトリツィアと再び手を取ることができるのか。
結末はまだ先になりそうですが、ハラハラしながら、行く末を見守っていきたいと思います。
中世を舞台にした、ある意味では王道の物語です。
それが、なんと言ってよいのか、あのう……、すごく色っぽい場面というのが時々あって、つまり、そこ、読んでから顔を赤らめてください(とっても良いんです)。
さて、物語は主人公の公爵令嬢パトリツィアと王太子ルイトポルトの愛を主軸に進みます。ふたりは幼馴染で互いに愛し合っているのですが。
『パトリツィアの父である宰相は、ルイトポルトの両親である国王夫妻の怠惰と放蕩を利用して権力を思いのままに振るっており、ルイトポルトは側近アントンなどの協力者を得てそれを是正しようとあがく』(あらすじより)。
この関係、ロミオとジュリエットです。つまり親同士に問題があって、愛し合うふたりには大きな障壁になっていきます。
ハラハラする展開、どろどろする関係。
さらに側近アントンと彼の妻とのムフフな関係が重奏的に物語に組み込まれ、作品に厚みを増しています。
周囲の人々のキャラも立っています。
陰謀や憎悪、愛欲、ヒューマンドラマ的要素が濃い物語です。どうぞ、お楽しみください。
※注意:本レビューは私の主観が大いに含まれております。
中世の西洋を思わせる舞台。
腐りきった王侯貴族。
改革を進めようとする動き。
複雑に絡み合う愛と知略のもつれ。
そう、舞台は整った!!
注目すべきは人だ、キャラクターだ!!
主人公とヒロインを含めて普通のキャラを持つものなんて皆無に等しい!!
しかしこの二人だけは純愛だ。真っ直ぐとは言えない。淀みなくとも言えない。しかしお互いをそれぞれの想いを持って愛し合っております。その在り方は応援したくなるほどに可愛らしいものです。
良いですか?
それに引き換え!周囲の乱れきった愛憎の数々!!嫉妬!性癖!偏愛!
ハッキリ言いましょう。
変態だあ!!変態ばっかりだ!!男も女も関係ない!!乱れに乱れ、縺れまくった関係!!時代背景や利権など様々な要因があるにせよ、これほどまでに乱れた世界と人間を作り出す田鶴先生の趣向が凄い!!
権力欲・愛欲・金欲この人の欲に乱れた世界観!!人の欲が人生を!世界を!物語を変える!!
そこのああた! 気になってません? ほら、少し覗いてみたらどうですか? あっ……これは観てはいけないもの? でも、もう少し……もう少しだけ……もっと、もっと!もっと観たい!覗きたい!!
と、なるかどうか。あなたの癖次第(笑)
宰相の娘であるパトリツィアと王太子ルイトポルトは幼馴染で婚約者。
成長した今も愛し合っている。
だが王太子ルイトポルトは、権力におぼれる宰相を倒し、国政を正すことを望んでゆく。
しかしそれは、愛するパトリツィアを失うことを意味していた――
令嬢と王太子の恋愛を描いた物語ではありますが、
貧民窟から抜け出そうとする人々や、政治を私物化する宰相を排除しようとする勢力など、
現実的な要素が複雑に絡み合う物語。
世界の歴史の中で民主化の名のもとに更迭された貴族や王族はたくさんいたわけですが、
そこにはきっと、こうした悲劇の物語がいくつもあったのではないかと気付かされます。
いや、まだ悲劇になると決まったわけじゃないんです!
でも愛し合う二人の間に立ちはだかる壁があまりに高く、
どうやって二人が幸せになるのか想像もできず、ハラハラさせられるのです!
しかし主役二人だけを応援したくなるわけではなく、
登場人物全員に人生があり、哲学があり、手に入れたい何かがある。
良い部分も悪い部分も含めて全員が人間であるという描き方が秀逸です。
ロマンティックな恋愛だけでなく、人間の醜い部分もしっかりと描き出す本作は、大変読みごたえがあります。
恋愛小説としてだけでなく、人間ドラマとして魅力的な本作を、ぜひ読んでみてください!
王道でありながらも奥深い王宮恋愛物語。
王太子と公爵令嬢という身分差、愛と義務の狭間で揺れる主人公たちの葛藤が、読者の心を強く揺さぶります。
ルイトポルトとパトリツィアの関係だけでなく、周囲の人物たちの思惑や愛憎が物語に深みを与え、最後まで目が離せません。
中世ヨーロッパを舞台にした物語であり、作者様の豊富な知識による歴史的な背景や文化が物語に彩りを添えています。
そして何より作者様の最も得意とするところである『ドロドロの愛憎劇』『倒錯したエロティシズム』も見どころ十分です!
大人な恋愛小説が好きな方、愛と義務の狭間で揺れる主人公の物語に興味がある方におすすめです。
貴族社会の恋物語だけでなく、政治的な陰謀や人間ドラマも楽しめる作品です!
本作は、大人向けの恋愛小説。
中世ヨーロッパ風の貴族社会を舞台に、繰り広げられる恋愛関係を中心に据えた人間ドラマです。
互いに想いあっていて婚約までしているのに、王太子ルイトポルトと公爵令嬢パトリツィアの恋は、なかなか成就しない。そんなふたりのじれったい関係がすごくいいです♪
地位や資金力など、登場人物たちには恋愛問題だけでは語りきれないトラブルがつきまといます。
先の読めない展開の連続で、思わず次のエピソードをクリックしてしまうこと間違いなし☆
恋愛模様はもちろん見どころ――なのですが、作者様のお作を読んできて毎度感嘆するのは、作者様の書かれる中世ヨーロッパ風世界観の素晴らしさです。
すごくリアリティがあって、起こること全てに納得。この世界観があるからこそ、メインに据えられた登場人物たちの恋愛模様が活きるんだなと思います。
王太子ルイトポルトと公爵令嬢パトリツィアは、小さい頃からの婚約者。
仲も良く、お互いに愛情を感じています。
けれども、パトリツィアの父である宰相は、権力をほしいままにし、王太子ルイトポルトとは政敵のような関係になってしまいます。
パトリツィアを愛している、けれども、国を宰相の思うがままにさせるわけにはいかない。
王太子ルイトポルトと同志、宰相と協力者、彼らの陰謀に女性たちも巻き込まれ、心も体も泥沼の事態に……
貴族社会の、華麗さの後ろの闇を描いた、とても興味深い作品です。
ぜひおすすめします。
国王夫妻の怠惰と放蕩、それに乗じた宰相の国政私物化。
ついに、王太子ルイトボルトは側近のアントンと共に、改革を目指し、クーデターを計画します。
しかし、問題は、ルイトボルトの婚約者(のちに妻)は宰相の娘。
そしてアントンの妻も宰相一門であること。
彼らは、クーデター後の彼女達の運命を思い、敢えて、距離を置こうとしたり、せめて妊娠させることのないようにと策を講じますが……。
果たして、彼らを愛する女性達は、描いたシナリオ通りに動いてくれるのでしょうか————。
そして読めばわかりますが、この側近アントンというのが曲者で。
理想に燃える高潔な男なのか、性にだらしないダメダメ男なのか、物語を大変盛り上げてくれています。
そんな、人間らしさがいっぱいの、愛の物語です。