愛し合う二人を阻むものが多すぎる!ヒロインは幸せになれるのか!?
- ★★★ Excellent!!!
宰相の娘であるパトリツィアと王太子ルイトポルトは幼馴染で婚約者。
成長した今も愛し合っている。
だが王太子ルイトポルトは、権力におぼれる宰相を倒し、国政を正すことを望んでゆく。
しかしそれは、愛するパトリツィアを失うことを意味していた――
令嬢と王太子の恋愛を描いた物語ではありますが、
貧民窟から抜け出そうとする人々や、政治を私物化する宰相を排除しようとする勢力など、
現実的な要素が複雑に絡み合う物語。
世界の歴史の中で民主化の名のもとに更迭された貴族や王族はたくさんいたわけですが、
そこにはきっと、こうした悲劇の物語がいくつもあったのではないかと気付かされます。
いや、まだ悲劇になると決まったわけじゃないんです!
でも愛し合う二人の間に立ちはだかる壁があまりに高く、
どうやって二人が幸せになるのか想像もできず、ハラハラさせられるのです!
しかし主役二人だけを応援したくなるわけではなく、
登場人物全員に人生があり、哲学があり、手に入れたい何かがある。
良い部分も悪い部分も含めて全員が人間であるという描き方が秀逸です。
ロマンティックな恋愛だけでなく、人間の醜い部分もしっかりと描き出す本作は、大変読みごたえがあります。
恋愛小説としてだけでなく、人間ドラマとして魅力的な本作を、ぜひ読んでみてください!