次々と襲いかかる試練を前にして、愛は勝てるのか……?
- ★★★ Excellent!!!
欲望にまみれた癖の強い登場人物が多いので、主人公の王太子ルイトポルトと妻のパトリツィアが霞んでしまうのですが、この二人は物語の良心といえます。
生涯この人を愛すると誓ったものの、混乱した国の情勢が、二人が愛することを許してくれません。
それでも愛を貫くことができるのか。
が、大きなテーマとなるわけですが……。とにかく一筋縄ではいきません。
様々な人の思惑が入り乱れ、絡まり、複雑な色を帯びていく。善良だから生き延びられるわけでなく、悪だから成敗されるわけでもない。
勧善懲悪ではないところが、実にリアルです。
そして、人の弱さや甘さ、冷酷さ、信じたい心、守りたいもの、欲望、身勝手さ。
人が持つ様々な側面を見るうちに、優しさが喜ばしくあり頼りないものでもあり、身勝手さが腹立つことでもあり愛おしくもある。
人間の中にある二律背反を感じて、クズ男でさえ応援したくなるのですから、不思議です。
国を治めるというのは、実に大変な仕事です。
次々と襲いかかる試練を乗り越え、ルイトポルトが愛するパトリツィアと再び手を取ることができるのか。
結末はまだ先になりそうですが、ハラハラしながら、行く末を見守っていきたいと思います。