短編であることが勿体無いと思うほどに、奥深い良質な作品です。
八年ごとに人を食べて生きている、鬼。
残酷なように思いますが、人間も他の生き物の命をもらって生きているので、文句を言えないのかもしれません。
ですが当然の成り行きとして、人間は鬼を憎み、鬼討師という組織ができます。
鬼であるアイカは、鬼討師に優しい両親を殺されます。
そしてなんの因果なのか、成長したアイカが好きになったのは、鬼討師の少年。両親を殺した鬼討師の息子でもあります。
ドロドロしたストーリーのようですが、思いの外アイカがさっぱりとした性格なので、読んでいて重苦しい感じがありません。
もしかしたらアイカは自分の運命、生き方を受け入れているのかもしれません。
重なった恋心が報われることなく、生死を賭けた戦いに発展する。
アイカと周囲の人たちがどのような道を進んでいくのか、気になる作品です。