第二章 幻想ステージ

6話:美愛が眠る理由

 8月12日② 起きてる時の日記、午前

 まだ午前だが夢も現実も書く事が多かったため一度日記を書いておく事にする。

 今後同じように長い夢を見た際などには潔く夢日記と現実の日記をきっぱり分けようと思う。ノートを二冊買っておけばよかった。


 夜が明ける前に目が覚め、コンビニへ行くとコロンが居た。

 本名は季﨑奏すえざきかなでと言うらしく、名前も振る舞いも体格も夢で出会った時とはまるで正反対だった。恐らく夢の中では"なりきっている"のだろう。

 そんな彼女と話す中でカムトマジナという集団について知った。端的に言うと『明晰夢をコントロールして夢を理想の異世界にしよう』なんて活動をしている人達だ。聞いた感じカルト宗教じみた印象を受けたが実際の所は分からない。

 そして事実として明晰夢の異世界化は既に起こっているらしい。この事に関しては私がルーベンスを殺した事に深く関係している現象なんじゃないかと思った。

 だとするとルーベンスが言っていた"歪み"がもう始まっており、近いうちにそれを修正する為の守護神代理が送られてくる筈だ。尤も、アイツの主張が短絡的なバカ計画でなければの話だが。


 死ぬのが怖い。ルーベンスの思い通りになるのは心底気に食わないが、やはり守護神代理が敵意を見せるのなら私は戦おうと思う。

 たとえこの世界が滅亡に近付こうとも、結花と深悠の魂を背負った状態で死ぬのはごめんだ。陽菜の能力の行方だってまだ知れていない。


 仲間たちの事に関する感情を片付ける事が出来たら、きっと私にも"死ぬ覚悟"が生まれるのかもしれない。

 楽しみではないが、そうなれるのならなりたいとは思う。




──────────


 ふと、ミサンガを取り出して手首に着けた。

 校則や戦いなど着けられない事情があって仕舞っていたため、まだ少しの解れも生じていない。

 ローカルな噂では使い込んで切れた時に願いが叶うなんて言われていたが、この状態から切れるまで使い込むとなると一体何年必要になるのだろう。


「……陽菜」


 私は、藤村陽菜から貰ったこのミサンガに仲間の無事を願った。

 既に叶えることが不可能な願いの場合、このミサンガは一体どうなるのだろう。と言っても願いが叶うというのはただの噂話。どうせどうにもならない。

 使い道はせいぜい陽菜の能力を継承したであろう彼女の妹、"藤村菜月"を探す手がかりくらいだ。

 別に見つけて何かするつもりは無いが、強いて言えば見守りたい。

 魔法少女の能力は"死の間際に思い浮かべた相手へと継承される性質"を持っている。菜月が魔法少女の能力を持っていた場合、守護神代理は彼女の事も放ってはおかない筈だ。


「……」


 何一つとして確定していない情報を基にネバついた炎をメラメラと燃やしていると、急にカノンが部屋に鳴り響いた。私のスマホの着信音だ。

 前にピアノ音楽に対して感じた苦しさは依然として消えない。精神状態が安定するまではデフォルトの無機質な着信音に戻しておいた方が良いだろう。

 咄嗟にスマホを手に取って電話に出ると、昨夜聞いたばかりの優しい声が耳に飛び込んだ。


「あ、晃ちゃん。奏だよ。起こしちゃった?」


「いや、起きてたから大丈夫」


「あの後眠れた?」


「少しだけ」


「そっか、よかった」


 昨晩、特に何も無かったから奏には連絡しなかった。起きてから連絡するべきだっただろうか。

 なんて事を考えていると少し眩暈がした。眠れたと言っても寝不足に変わりは無いようだ。


「それだけ確認したかったの。いきなりごめんね、じゃあね。 ……夜じゃなくても、キツい事があったらいつでも連絡してね」


「うん、ありがとう」


 通話を終了すると腹が鳴った。時刻は朝の8時半、長期休みになると朝食の時間が不規則になって良くない。とりあえず簡単な朝食を作ろうかとリビングへ降りた。

 両親は既に出勤しており、家の中はひんやりとした静寂に包まれていた。

 無意識にテレビを点け冷蔵庫を漁る。テレビでは有名アイドルグループの全国ライブが中止になったというニュースが流れていた。

 簡単なベーコンエッグとレタスとプチトマトのサラダを作り食卓に就く。

 だらしなく左手でスマホを弄りながらレタスを口に運ぶと、興味を惹くニュースが目に入った。

 その内容は先程ニュースで見たアイドルグループに所属する少女一名が原因不明の昏睡状態に陥ってしまったという事だ。


「……まさかな」


 記事を読み進める。

 昏睡状態になっている少女の名は望月瀬里菜もちづきせりな、年は17歳。

 昏睡状態である事が公に発表された日はまさに今日であるが症状はそれ以前、一週間ほど前から昏睡状態に陥っていたらしい。

 飲み込むタイミングを失ったレタスを強引に喉へ押し込む。そのまま急ぐように残りのサラダを頬張った。

 情報を求めて開いた掲示板には瀬里菜に関する書き込みが多く寄せられていた。

 どうやら今回の件が発表される前、彼女はスキャンダルが原因の炎上状態にあったようだ。彼女の昏睡はその心労が原因となっているのではないか、という噂が掲示板及び他のSNSでも囁かれていた。

 そして、今なお炎上が収まる様子は無い。

 ネット民の予想通り心労で寝込んでいるのなら私にはどうにもできないが、美愛の存在が頭にあるせいか『もしかしたら明晰夢を見ているかもしれない』と思ってしまった。そうであれば干渉できない事も無いだろう

 そして、『カムトマジナが関係しているかもしれない』とも思った。まだあの集団が悪者だと決まった訳ではないのだが。


「……」


 どうにも思考が最近の出来事に引っ張られているような気がする。しかし『万が一私の想像通りの事が起きていたら』と考えると放っておけない。

 私は明晰夢の異世界化に関する一連の事に対して決して小さくない当事者意識と責任を感じている。『瀬里奈が望まない昏睡に陥っている可能性』と『私がルーベンスを殺した事がその原因になっている可能性』が同時に存在している以上、知らんぷりなど出来ない。

 それに美愛を目覚めさせる手掛かりに繋がる可能性だってある。単純にそういう意味でも見過ごせない出来事だった。

 奏へと電話を掛ける。兎にも角にもまずは明晰夢の世界について知っている人に話を聞くべきだろう。

 

「はぁい、晃ちゃん。どうしたのかな?」


 2コールで奏が出た。


「突然で悪い。ニュース見たか? 瀬里菜ってアイドルが昏睡状態ってやつ」


「え、見てない。それがどうしたのぉ?」


「カムトマジナと関わりがあるんじゃないかと思って。少し気になるんだ」


「ほー? 夢の中で色々探りたい訳ね?」


 察し良く私の意図を汲んだ奏が結論を確認する。


「そう。この後時間あるか? 動き出す前に色々聞きたい」


「ぜんぜんオッケー! 他にも色々美愛さんも交えて説明したい事があるんだけど、晃ちゃんはこの後眠れそう?」


「ありがとな、私は多分大丈夫。眠れると思う」


 食事によって上昇した血糖値と寝不足が眠気を誘ってくれる事に期待しよう。上手く眠れれば食後の睡眠という事で浅い眠りになって明晰夢を見る可能性も高くなるだろう。


「奏は眠れるのか?」


「実は二日酔いが酷くて迎え酒してたんだぁ。酔っぱらってもう眠くて眠くて」


 よく聞くと追加で缶を開ける音が聞こえた。深夜に買っていた度数の強いチューハイだろうか。

 大学生であれば私と同じく夏休みなのだろうが、流石に朝から"出来上がる"のは色々と心配だ。


「……程々にな」


「心配してくれるんだ? やっさしー」


「茶化すなっつの。もう電話切るぞ」


「はーい。じゃあまた後でね」


 電話が切れた。悪夢障害が診断された際に一応睡眠薬も処方されているが、今はまだ自分の力で寝たい。

 早食いは血糖値を上げるという話をうっすらと頭に思い浮かべながら急いで朝食を腹に詰めて布団に入った。




──────────


 布団に入ってからそう時間をかけずに眠れたような気がする。

 時間を数えていたわけではないが、真っ白な空間で改めて寝る前の事を思い返すとなんとなくそう思えた。

 前方には前回と変わらず大きな扉と槻代美愛という少女が存在しており、それ以外には何も無い。

 正真正銘、眠る間際に私が望んだ明晰夢そのものだ。


「あ、晃さん」


「美愛ちゃん」


 私に気付いた美愛がこちらへと駆け寄る。

 前回は急な目覚めによって別れの挨拶も出来ずにこの世界を去ってしまった。あの瞬間の私は、彼女からは一体どのように見えていたのだろう。


「突然居なくなって悪かった。なんか目が覚めちゃったんだ」


「いえいえ、やっぱり起きたからああなったんですね」


「ああなったって、どんな感じになってた?」


「なんかこう、急に消えました」


「……急に消えるのかあ」


 分かりやすい演出でもあればいいのだが。目を離した隙に消えてしまった場合起きたのか単にはぐれたのか分からなくなってしまいそうだ。


「あの後、コロンとはどうなった?」


「自己紹介程度には話しましたけど…… まだ少しギクシャクしちゃうかもしれません」


「そうか。まあ大丈夫だろ」


「ええー…… 何を根拠に……」


 コロンもとい奏は面倒見が良くて安心感がある良い人だ。考えれば考える程、昨晩の夢で何故あのような振る舞いや行動に走ったのか分からなくなる。

 現実で私に接したような態度であれば、今からでも印象の修正ができるだろう。

 なんて事を考えていると頭上にプレゼントボックスのような装飾が施された扉が出現した。


「っ! 何!?」


「……」


 昨晩、コロンは扉がどうのと言っていた。恐らく、明晰夢に慣れている者は扉を用いて移動ができるのだろう。今出現したあの扉は多分コロンの物だ。確証は無いが、会う約束をしていたから彼女である可能性が高い。

 それでも一応身構えていると勢いよく扉が開け放たれてピンク髪の少女が飛び降り、私たち目掛けて走り始めた。


「お待たせー! らぶりぃコロンちゃんが来たゆーっ!!」


「こ、コロンさん……!? どうしてここに……!」


「落ち着いて。私が会う約束をしていたんだ」


「え、え、いつ……?」


 戸惑う美愛の一歩先に出るとコロンが目の前で立ち止まった。


「晃ちゃん、昨日ぶり? さっきぶり? コロンより先に寝付けたみたいだね!」


「自分でも驚いてる」


「……もしかして、今まであまり眠れてなかった?」


 私が自身の精神に関する微かな悩みを抱えている事は既に察しているのだろう。それへの配慮か、コロンは美愛へ聞こえないように小声で私へと語り掛けた。


「今までというか、ここ最近は寝つきが悪くて」


「そっか。大事にしようね、この時間」


「……うん。なるべく長くここに居たい」


「二人して何を話しているんです?」


 コソコソと話していると美愛が恐る恐る私の隣に立った。

 美愛からすれば私とコロンが現実で会っていた事など知る由が無い。まずは現実でコロンと私の接点が生まれたことについて簡単に説明をした方がいいだろう。


「あっ! 美愛さんも昨日ぶり!」


「あ、はい……」


「ちょっとちた世間ばなちをちていたんだゆ! 気にちないで!」


 瞬時に呂律を溶かしたコロンがにこやかに答える。意図して二面性を持っているという事だろうか。疲れそうだ。


「なんというか、やけに親しそうですね。あの後分かれて以来ですよね?」


「その事なんだけどね、コロンと晃ちゃんはね、実は現実で出会ってちまったのです!」


「……」


 前に会った時よりも酷くなっているような気がする。やはりコロンとしての振る舞いは苦手だ。内面は奏であることを加味した上で少しのイラつきを感じてしまう。


「現実で…… 夢の外でも会うことが出来たんですね」


「そうなの! だからぁ、うふふ。さっきのコショコショ話はその時の事をね? んふふ、きゃーっ!」


「なるほど、分かりました」


「うん、んで、その時にこの明晰夢の世界で起こっている事の説明とか美愛さんの話をちょっとだけちたの。美愛さんにも説明ちないとなーって思って今日ここに来まちた」


「そういう事でしたか…… 少々お待ちを」


 緩急のあるテンポで状況の説明をするコロン。それをすんなりと飲み込み納得した美愛は明晰夢の力でテーブルと三人分の椅子を作り出した。


「どうぞ、お掛け下さい」


「わ、ありがとーっ、おすわりおすわりっ」


「なあ、それ素面しらふか? コロン」


「ぶーっ、そういう事は言っちゃだめよ、ぷりてぃ晃ちゃん」


「……酔ってるなあ」


 酔っぱらって寝落ちしたのだろう。酩酊状態とまではいかないのだろうが、アルコールが分解されていない状態での睡眠は色々とリスクがある。今ここで引っ叩いて起こした方がいい気がしてきた。


「じゃあ簡単に説明ちまちゅ! まずは美愛さんの事から! 美愛さんわ今自分が明晰夢を見ているって事は自覚ちているんだよね?」


「はい。この空間とは全く異なる場所で生きていた、という記憶は朧気ながら存在しています」


「うんうん。んで、目覚められなくなっちゃったんだよね」


「……はい。ずっと、体感では何年も、"途切れずに"ここにいます」


「……その原因について、晃ちゃんと現実で少しだけ考察しあったの。本当に少しだけ」


 いきなり真面目なトーンになったコロンに美愛が戸惑ったような眼差しを向ける。感情の乗った視線に気づいているのかいないのか、コロンはテーブルの上で指先を合わせながら言葉を続けた。


「その時に出た仮説は二つ。そのうちの一つは美愛さんにとってショッキングな内容になっちゃうかもだけど、大事な事だから落ち着いて聞いてほしいの」


「は、はい……」


「どっちから聞きたい?」


「え…… っと、ショッキングじゃない方から」


「分かった」


 美愛の声から緊張を汲み取ったコロンは安心させるように穏やかな口調で語り始めた。


「ここ最近、明晰夢の中で生まれた"カムトマジナ"っていう集団が活動を始めたのは知ってる?」


「カムトマジナ…… いえ、初耳です」


「そっか…… その人達の活動内容を簡単に言うと、『自分達の夢を理想の世界に変える』って感じ。その為に人を集めたりもしているから、もしかすると美愛さんはそのカムトマジナの干渉を受けて目覚められなくなったんじゃないかっていう考察がまず一つ目」


「なんだか物騒な事が起こっていそうですね……」


「……うん。私もあんな事をしてしまったけど、同じような手段を以て仲間を増やそうとする人は他にも居るかもしれないから注意しないとだね」


 自分の記憶の中から心当たりのある物を探すように美愛がテーブルに視線を落とした。

 が、結局ピンとくる記憶は無かったようで首を横に振ってコロンの方へと視線を戻した。


「……もう一つは?」


「あくまでも想像の話だけど、病気やケガが原因で美愛さんの身体が昏睡状態に陥っているかもしれないって話」


 精一杯の配慮を込めてゆっくりと告げる。その言葉を聞いた美愛は、またしてもいまいちピンと来ていないような表情を浮かべた。


「病気、怪我……」


「何か心当たりはある?」


「ここに来る前の記憶が無いからどうにも言えませんが…… 痛い所は特にありませんね」


「そっかあ。せめて現実でどこにいるのかが分かれば別のアプローチが出来そうなんだけど……」


 悩むように唸ったコロンが背もたれに身を預ける。ギッと音を立てた木製の白い椅子に体重を任せた彼女は、そのままの姿勢でブツブツと考え事を始めてしまった。


「……美愛ちゃん、一つ私からもいいか?」


 彼女らの会話が一度途切れた事を確認し、今度は私が美愛へ言葉を送った。

 私は私で彼女に確認しておきたい事がある。


「はい、なんでしょう」


「頼まれてはいない事だが、私は美愛ちゃんを目覚めさせる方法について色々と探してみようと思っているんだ。私自身カムトマジナについて詳しく調べたいから、その一環という形で」


「へっ?」


 彼女が奏と同様に実在する人物であるのならば放っておく事はできない。

 私が美愛であれば一刻も早く原因を突き止めて元の場所に帰りたいと思うだろう。実際彼女がどう思っているかは知らないが、『自分が同じ立場だとしたら困る』と思うのなら助けるべきだ。

 そして望月瀬里奈の例に漏れず美愛がこの状態になってしまった原因も元を辿ればルーベンスの死が関係している可能性がある。そうであれば尻拭いとして助力するのが筋だ。"何年もここにいる"という話と辻褄が合わない部分もあるが、事実として明晰夢の異世界化やカムトマジナの結成が起きている現状においてわざわざそれらを完全に切り離して考える必要もあるまい。それ以外で心当たりが特に無いのだから。


「……ただ、私に出来る事は主に『カムトマジナに接触して情報を集める』って事だけになる」


「カムトマジナに…… 確かにそれ以外で思いつく方法はありませんね」


「うん。だけどカムトマジナに接触する以上、また君を変な事に巻き込んでしまう危険性は無視できない。昨晩のような目に遭いたくないのであればもう少し別の方法を考えてみたり…… 或いは、そもそも助けを望まないのであれば君へ影響が出ないように極力関わらないとか配慮をするつもりだけど…… どうしたい?」


 結局のところ美愛から頼まれていた事は『扉の向こうまで同行する』という、捉え方によってはあの場における一時的な事のみである。それ以上の行動を私が"勝手に"起こして美愛が巻き込まれるのは本意ではない。


「……確かに怖い思いはしたくないです。けど、お願いします。それに、私もやってもらってばかりは嫌です。晃さんの目的のお手伝いもさせて下さい」


「そうか。そう言ってもらえると嬉しいよ。引き続きこれからもよろしくな」


「はい!」


 一先ずの確認を終えるとコロンが姿勢を正してこちらを見た。


「ちなみにその目覚める方法を探す件、コロンもお手伝いするつもりでちゅ」


「え、コロンさんまで? いいんですか?」


「美愛さんに怖い思いをさせちゃったから。そのお尻拭いみたいな? 意味も込めちゃったり? ……というか、晃ちゃんだって明晰夢の世界についてあんまり分かっていないみたいだからコロンが居ないとかなり困ると思うゆ」


「そうだな。正直言って何もかもが分からない。大海原に放り出されたような感覚だ」


 とりあえず今はニュースで見たアイドルを探したい。だがこの夢の中でどのように動けば手掛かりに辿り着けるのかすらも分からない。昨晩コロンの夢に入り込んだように、彼女がいる夢へ行ければいいのだが。


「うん。ぢゃあ今から夢の中を歩くにあたって必要な事を教えるね!」


「頼む」


「は、はい。お願いします」


 コロンが起立する。それに合わせて私も立ち上がり、そして美愛も畏まった様子で立ち上がった。

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