3 - 5 トモカが目撃(旅)

 トモカとミホ、そしてヒロトが部室サークルのへやを出て、「ミオ様が来てるみたいです!」と言っていた女子学生に聞いた場所にやってきてみると、なるほど、一目で得心がいった。

 男性が二人、女性が一人の三人に守られながら歩く、学生らしき女の子がいたからだ。周囲の学生たちは、案外彼女らと距離を置いていなかった。ノキサキミオはそういう人だという風に慣れっこになっているのかも知れない。

「カシワギさんッ! 行ってみましょう……」

 ヒロトが、積極的な感じで言って誘った。

 トモカとミホは、それに続いてミオに近づいた。

「……ミオさん」

 ヒロトが声をかけると、彼女はそれに気づいて立ち止まった。

「……ミオさん。大丈夫ですか? しばらく休んでいたみたいですね」

「うん。でも、大丈夫だよ。ありがとー」

「あの……、ミオさん。こちらは……」

 ヒロトが、トモカとミホを紹介してくれ、学生が休憩をとる建物に入ることになったのだった。

 学生たち四人はテーブル席に坐った。

 ミオのボディガードは、こういう場所までは入ってこないようだった。

 トモカが、

「ボディガードの方たちは、皆さん、魔性マセイなんでしょうか」

「え? 違います。……魔性マセイで警護してくれてた人には、フられちゃったの」

「……?」

「このキャンパスで地龍モグラが出たでしょ。あれ、わたしの所為せいだったの。襲われたアヤカは、わたしは悪くないって言ってくれてるけれど」

「そうなんですか。どうして……」

地龍モグラが使われた理由は……、家の色々なことが理由ッて言えばいいかな。そういうのに関わりたくないッて、警護の人には辞められちゃった」

「そうなんですね……」

 トモカは、単純に、財閥の家には色々あるのかなあ、と思った。

魔性マセイの人と仲良くなりたいんだ?」

「まあ、というか、はい……」

「それじゃあ、探偵事務所、教えてあげる。ノキサキミオの名前出してもいいよ」

 彼女は、バッグから財布を取り出すと、名刺を手にして、渡してくれた。

 ヒロトが、

「流石、ミオさん。頼りになりますね」

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