第3話 トモカ
3 - 1 トモカが仄聞(別れ)
ゼミナールの教員、
「カシワギさんは、卒業後はどう考えているの?」
「迷っています。発達心理学をやろうかと思っていて。
「そうなの。発達心理学はいいとして、
口調はやさしいが、明らかに、この教員は反対している様子であった。トモカは、
「はあ、そうですか」
と返すことしかできない。
実は、彼女は子供の頃に姉と離ればなれになっていた。
その頃には、姉もトモカも小学生だった。同級生の男の子が、他の男の子にからかわれていたときがあって、それを見かけた姉が怒って止めに入った。そして、相手を痛がらせてしまった。男の子に怪我というほどのものはなかったのだが、そのことで姉が
トモカが誰かに、家族に
次の授業にまで時間があったので、キャンパス内の書店に立ち寄ってみると、同じ専門科目を履修している
「トモカあ、元気かい?」
「うん、いつも通り」
「おれえ、テレビの取材受けそうになったよ」
「
「いやあ、ウザいから、逃げた」
「ふーん」
「この前、あそこのカフェの前辺りに出てきただろう? 特定の人物を襲うように仕込まれていたらしいよお」
「そうなの? 確か一年生が怪我させられたって聞いたけど」
「目撃者たちによるとお、どうも彼女を狙っていた感じがあったって」
「どうして分かるの」
「彼女の匂いに反応しているように見えたらしいよお。いや、学生の見立てだから、はっきりしないけどね」
「襲われた彼女は、助かったんでしょ」
「うん、助かったあ。擦り傷で済んだらしい。なぜか
「
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