3 - 6 トモカが好感(奇蹟)

「最近、ヘイちゃんへのお客さんが多いわね」

 探偵事務所を訪れたトモカたちに対して、高身長美女はそう言った。

 ミホだけでなく、ヒロトまでが心配だと言って一緒に来ていた。彼は、その三瀬明奈ミセ アキナという女性を見て表情を変えている。ただの女好きなのではないかとトモカは思い始めている。

 確かに、アキナは美人というだけではない妙に魅力を感じさせる女性ではあるが、それにしても……。

「生憎、いまはいないのよ、ここには」

「そうなんですか。御用が終わるまでに、お時間かかる感じでしょうか」

「そうかも知れないわね。ほら、見てみて」

 アキナに促されて、テレビ画面を見ると解像度の低い雑な映りの景色だった。どこかの公園を建物の上から撮影しているものかも知れない。字幕があって、「地龍モグラが出没中!」と表示されている。

 画面の中心が、大猿のような生物を捉えている。そして、少し離れた先に人影があるようだ。

 地龍モグラが人影に向かって走っていった。速い。

 人影は、タックルされて後ろに飛んでしまった。

 アキナが、

「いま倒されたのが、あなたたちが訪ねてきた東道平吉トウドウ ヘイキチよ」

「ええ!?」

 ミホもヒロトも、トモカも驚いて、

「大丈夫なんですか?」

「まあ、見ているしかないわ……」

 画面上のヘイキチは、地龍モグラに馬乗りされているように見える。やがて、これは危ないのではないかとトモカが思ったとき、地龍モグラが飛ばされた。ヘイキチからは、何か光が出ているようであった

 アキナが安心した表情で、

「なんとかなったようね。……あなたたちとは、後日の約束にしてくださるかしら。今日は、彼も疲れているだろうから」

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