第2話 音楽の響き
朝、恵美は母の美咲と一緒に近くの公園へ散歩に出かける。葉のささやきと鳥の鳴き声が心地よいバックグラウンドミュージックのようだ。美咲は、いつものように、小さなポータブルレコーダーを持って、自然の音を集めている。これは、彼女のラジオ番組で使うための素材だ。
「恵美、今日はどんな音が聞こえる?」美咲が尋ねる。
恵美は目を閉じて耳を澄ませる。「風の音と、遠くのドッグランから聞こえる犬の鳴き声かな。」
「それを使って、今日の放送で何か面白いことをしようか?」美咲が提案する。恵美はそのアイデアが気に入り、二人で音を集める作業に夢中になる。
午後、恵美は父の幸太郎と一緒に家族のカラオケセットを出してくる。幸太郎はカラオケが趣味で、よく家族で歌うのだ。
「今日はどんな歌を歌う?」幸太郎が笑顔で尋ねる。
「うーん、春にぴったりの歌がいいな!」恵美が元気よく答える。幸太郎はプレイリストから「春の歌」を選び、音楽が家中に流れ出す。
恵美はマイクを手に取り、勇気を出して歌い始める。初めは緊張していたが、歌が進むにつれて自信が湧いてくる。幸太郎と美咲も次々とマイクを手にし、家族で楽しい時間を過ごす。
夜、恵美はその日の出来事を日記に書く。音楽で表現する楽しさ、自然の音がどのように感情を豊かにするかについて綴る。日記を書き終えた後、恵美は窓の外を見ながら、今日集めた自然の音を思い出す。
「音楽ってすごいね。自分の気持ちを変えられるんだ」と恵美はつぶやく。美咲は娘の隣に座り、頭をなでながら言う。
「そうね、音楽は私たちの心に直接話しかける特別な言葉みたいなものよ。」
恵美の毎日は、家族の絆とともに、音楽や自然の美しさを通じて、彼女自身の内面を探求する旅が続いている。彼女の成長と学びは、周囲の世界との調和の中で静かに、しかし確実に進んでいる。
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