第10話 ページの向こうの成長
ある曇りがちの土曜日、恵美は自宅のリビングでのんびりと絵を描いていたが、ふと隣の部屋から母・美咲が「大掃除の時間よ!」と呼ぶ声が聞こえた。春の大掃除を少し遅れて始めることになったのだ。恵美は仕方なくクレヨンを置き、掃除の手伝いをするために母の元へと向かった。
掃除を始めてすぐ、二人は恵美の勉強部屋にたどり着く。部屋の一角には、過去数年間の学習で使用したノートが山積みになっていた。恵美はその山を見て、ふと学習の日々を思い出す。「全部これ、僕が書いたの?」と驚きながら母に尋ねた。
美咲は微笑みながら「そうよ。君の勉強の軌跡だね」と答えた。二人でノートの山を一冊一冊手に取り、中を見ていくことにした。それぞれのページには、恵美が学んだ算数の公式、読書の感想、科学の実験メモなど、彼女の努力の証が詰まっていた。
特に古いノートからは、恵美がどれだけ成長したかがはっきりと分かる。初めの頃のぎこちない文字や間違えた計算式も、年月と共に確実に上達し、洗練されていく様子が見て取れた。恵美自身も、自分の成長を改めて実感し、新たな自信を感じ始めた。
「ママ、これからもっといろんなことを学んで、もっと上手にできるようになりたい」と恵美が宣言すると、美咲は「それは素晴らしいわ!君ならできるわ」と励ました。
その日の後、恵美は新しいノートを一冊手に取り、その最初のページに「新しい学びの始まり」と大きく書き込んだ。これからの学習でまた新たなページを埋めていくことを楽しみにしていた。
掃除を終えた後、恵美はその日記に今日の発見と決意を記録した。「ノートの山を見て、自分がどれだけ学んだかがわかった。これからもっとたくさん学んで、もっとたくさんのノートを埋めていきたい」と書いた。
学びの過程で培われた知識と経験は、恵美にとって計り知れない価値があることを、この日の活動が改めて教えてくれた。そして、学習の証としてのノートは、彼女の成長の貴重な記録として、これからも大切にされることだろう。
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