恵美らしさの、歩み

みっちゃん87

第1話 新しいページ

朝の光が窓からそっと部屋に差し込む。恵美は自分の小さなデスクに向かい、日記を開く。今日の日付を丁寧に記入した後、昨日の出来事を綴り始める。幸太郎と美咲は、隣の部屋で朝の準備をしている音が聞こえる。


恵美の家はいつも、朝から活気に満ちている。美咲がキッチンで朝食を作りながら、ラジオの音量を少し上げる。今日も彼女のラジオ番組の放送日だ。幸太郎は、恵美のために特別に作ったプレイリストを流しながら、コーヒーを淹れている。


「恵美、朝ごはんだよ」と美咲が呼ぶと、恵美は日記を閉じて、食卓に向かう。テーブルには、幸太郎が選んだ音楽が心地よい背景を作り出している。


朝食を食べながら、恵美は家族との会話を楽しむ。今日は週に一度の支援員さんとの日だ。学校に行く代わりに、恵美はこの時間を心待ちにしている。支援員の松本さんは、恵美が学びを続ける上で重要な役割を果たしており、彼女の特別な友人の一人だ。


「今日は何をするの?」美咲が興味津々で尋ねる。


「松本さんと一緒に植物について学ぶんだ」と恵美が答える。彼女の顔には、学びの楽しみが満ちている。


食事が終わると、恵美は自分の部屋に戻り、在宅学習の準備を始める。デスクの上には、昨日図書館から借りてきた本が積まれている。今日の学びは、自然科学だ。恵美は、植物の成長過程やそれが環境にどう影響するかについて学ぶのが特に好きだ。


午前中の学習が終わると、恵美は外に出て、庭で実際の植物を観察する。この時間が彼女にとっては特別な時間だ。新しい発見や感動が、彼女の心を満たしていく。


松本さんが到着すると、恵美の表情は一層明るくなる。二人は庭に出て、恵美が観察した植物について話し合う。松本さんは、恵美の興味を引く新しい事実や、植物の不思議な性質について教えてくれる。


「恵美、君の観察力は素晴らしいね」と松本さんがほめると、恵美は嬉しそうに笑う。


この日の終わりには、恵美は日記に今日学んだことを書き記す。彼女にとって、この日記は成長の記録であり、自分自身と向き合う場でもある。


恵美の学びの日々は、家族の支えと、彼女の好奇心によって彩られている。彼女の歩みは、一歩一歩、自分らしく、確実に進んでいる。

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