第15話 水の中の小さな一歩
夏が訪れた週末、恵美と彼女の家族は地元の福祉センターが主催する家族向けの水泳日に参加した。このイベントは、特に水に慣れることを目的とした子供用プールでのアクティビティを含んでおり、恵美も楽しみにしていた。
到着すると、プールの周りは既に笑い声と歓声でいっぱいだった。多くの家族が水の中で楽しんでおり、子供たちは浮き輪やウォーターボールで遊んでいた。恵美は初めてのプール体験に少し緊張しながらも、美咲の手をしっかりと握ってプールサイドに立った。
「大丈夫だよ、恵美。水はね、とても優しいから」と美咲が励まし、二人はゆっくりと水に足を踏み入れた。水の冷たさに最初はビクッとした恵美だが、美咲がそばで支えてくれる安心感から、徐々に水に体を任せ始めた。
プールの浅い部分で、恵美は水の抵抗を感じながら歩く練習をした。最初はつまずきそうになりながらも、美咲の助けを借りて一歩一歩確実に進んだ。周りの子供たちが水しぶきを上げながら遊ぶ様子を見て、恵美も少しずつリラックスしてきた。
「ママ、見て!一人で歩けるよ!」恵美が嬉しそうに叫びながら、少し離れた美咲に向かって歩き始めた。その瞬間、プールの中での彼女の小さな勇気ある一歩は、周囲の大人たちからも温かい拍手を受けた。
水遊びの後、幸太郎が持ってきたピクニックバスケットでランチを楽しむ家族。恵美は「水の中って楽しいね!また来たい!」と笑顔で話し、その日の経験が彼女の自信を育てたことを感じていた。
その夜、恵美は日記にこの日の冒険を綴り、「水の中で歩くのが最初は怖かったけど、ママがそばにいてくれて、いっぱい歩けたよ。次はもっと遠くまで歩いてみたいな」と書き留めた。この日のプールでの経験は、恵美にとって新しい挑戦の楽しさと、家族と共有する喜びの大切さを教えてくれた。
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