第7話 お茶会のつながり

恵美の父、幸太郎が働く就労継続支援b型事業所では、地域社会との連携を重視しており、その一環として地元の福祉センターで月に一度、お茶会を開催していた。今月は特別に、恵美と美咲も参加することになった。


その日の朝、恵美はわくわくしながら準備を整えた。美咲は恵美に可愛らしい花柄のドレスを着せ、二人は手をつないで福祉センターへと向かった。


センターに到着すると、多くの参加者がすでに集まっており、様々な年齢の人々が談笑していた。恵美は初めて見る顔ぶれに少し緊張しながらも、幸太郎の隣で微笑んでいた。


お茶会は和やかに始まり、幸太郎がまず挨拶をした後、参加者たちが一人ずつ自己紹介をした。恵美も「こんにちは、恵美です。よろしくお願いします」と初々しく自己紹介をし、参加者から温かい拍手を受けた。


その後、美咲が持参した自家製の抹茶クッキーが配られ、恵美はそれを手に取りながら、周囲の人々と話を始めた。特に、同じくらいの年の女の子とはすぐに仲良くなり、お互いの好きな本や趣味について話に花が咲いた。


お茶会の進行と共に、地元の老舗茶屋から招かれたお茶の専門家が抹茶の点て方を披露し、恵美は目を輝かせてその手際の良さを見学した。その後、参加者全員に実際に抹茶を点てる体験ができる機会が与えられ、恵美も挑戦。少し手こずりながらも、自分で点てた抹茶を味わった時の達成感はひとしおだった。


お茶会の最後には、幸太郎が「今日集まってくれた皆さん、ありがとうございます。お互いの絆を深める素晴らしい機会になりました」と感謝の言葉を述べた。


帰宅後、恵美はその日の出来事を日記に綴る。「今日のお茶会で新しい友だちができたこと、そして初めて抹茶を点てたことがとても楽しかった!」と書き留めた。この日の経験が、恵美にとって新しい世界の扉を開くきっかけとなり、地域社会とのつながりを感じる貴重な一日となった。

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