第8話 たけのこ探しの大冒険

春が深まるある週末、恵美の家族は地元の山にたけのこ掘りに出かけることにした。これが恵美にとって初めてのたけのこ掘り体験だった。彼女は早朝からワクワクしていて、父の幸太郎と母の美咲もその熱意に感染されたように笑顔だった。


車を降り、山の入口に立つと、幸太郎がたけのこ探しのコツを説明し始める。「たけのこはね、地面からちょっとだけ頭を出しているんだ。土の盛り上がりを見つけたら、その周りを掘ってみよう。」


恵美は熱心に父の話を聞き、小さなスコップを手にして山道を進み始めた。木々の間には春の光が差し込み、鳥のさえずりが耳に心地よい。恵美は周囲を注意深く観察し、土の中からほんの少し顔を出したたけのこの姿を探した。


しばらく歩いた後、恵美は小さな土の盛り上がりを見つける。「これかな?」と呟きながら、慎重に周囲の土を掘り始めた。幸太郎と美咲もそばで見守りながら、助言をくれた。「ゆっくり掘ってね、たけのこはデリケートだから。」


やがて、恵美のスコップが何か硬いものに当たる。彼女は力を込めて少しずつ土を取り除き、ついにたけのこの先端が姿を現した。それはまるで宝物を見つけたような瞬間だった。恵美は「見つけた!」と叫び、家族も彼女の発見を祝った。


その日の午後、たけのこ掘りを楽しんだ後、家族は収穫したたけのこで料理をすることに。美咲が調理する間、恵美はキッチンで見守りながら、掘り出したたけのこについて日記に記録した。


夕食時、テーブルに並んだのはたけのこご飯とたけのこの煮物。恵美は自分が掘ったたけのこがこんなにも美味しく変身するのを嬉しく思った。食事中、恵美は「たけのこ掘りってすごく楽しい!また行きたいな」と家族に話し、その言葉に幸太郎と美咲も笑顔で「もちろんだよ」と答えた。


恵美のたけのこ掘りの冒険は、ただの遊びではなく、自然とのつながりを深め、家族の絆を強化する貴重な体験となった。彼女の日記にはその日の楽しさと学びが生き生きと綴られており、この春の日の思い出はいつまでも彼女の心に残ることだろう。

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