第21話 喫茶店でお話

「おい翔、邪魔だどけ!」

 

 俺が自分の席に向かっていると、とある生徒からそんなことを言われる。

 

 そいつは俺をいじめている佐々木だ。


 クラスの中でもカーストのトップに君臨しており、体格もよく、野球部では期待のエース。


 そしてダンジョン探索者B級というのもあり、クラスでは誰も逆らうことは出来ないでいるのだ。

 

「邪魔って、自分の席に行くだけだろ?」

 

「ああ? お前みたいなのが俺に意見すんじゃねーよ!」

 

 俺は佐々木に席から蹴飛ばされる。


 どうして俺がこんな目に合わなければいけないのだろうか、ただ席に座りたいだけだというのに。


 俺はそんなことを思いながら、時間が過ぎるのをじっと待つことしか出来なかった。

 

 放課後。

 

 授業がようやく終わり、俺はいつもみたいに早足で帰宅しようとしていると、校門の前に誰か立っているのを見かける。


 その人影はなにかを探している様子だったが、すぐに俺に気がついたのかこちらに向かって歩いてきた。

 

「やっほー、翔くん♪」

 

「へ!?」

 

 俺は突然のことに驚き、思わず声をあげてしまう。

 

「私はリサだよ翔くん♪」

 

 まじかよ、サングラスやマスクをつけるとここまで分からなくなるのか。

 

「翔くんこの後予定ある?」

 

「いや、特になにも無いけど……」

 

「それじゃあ近くにある喫茶店でお話しようよ、これからの攻略とかね♪」

 

「わ、分かった」

 

 俺は頷くとリサと一緒に近くの喫茶店に向かうのだった。

 

 俺たちは喫茶店の中に入り席に座る。

 

「もしかして緊張しちゃってる?」

 

「だ、大丈夫」

 

 リサはいつも以上に落ち着いた様子で、そう聞いてきた。

 

 どうやら俺は相当緊張しているように見えてしまっているらしい。

 

 喫茶店にはよく一人で行くが、女子と行くのは初めてだったからだ。


 しかも有名配信者のリサと対面で座っているという状況は、緊張しない方がおかしいだろう。

 

 それでも俺は自分を落ち着かせながら、リサと会話を交わす。

 

「翔くん何飲む? 私奢るよ♪」

 

「それじゃあカフェラテで……」

 

「私も同じのにしようかな」

 

 そうして注文が決まり、俺は店員さんにカフェラテを2つ頼む。

 

 しばらくすると頼んだ飲み物が届き、俺たちはそれを口にしながら話を続けた。


 「それで今後のことなんだけど、良かったら私と動画チャンネルを運営しない?」



―――





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