第3話 めちゃくちゃ余裕だな

 俺はダンジョンがどこにあるかネットで検索し、電車やバスなどで行ける初心者向けのダンジョンを見つけた。

 

 そして俺は入念な準備を済ませてから、ダンジョンに潜るのだった。

 

「結構人がいるんだな、配信者もいっぱいいるし」

 

 ダンジョンの内部には配信者が蔓延っていた。


 俺はそんな彼らの邪魔にならないように気をつけて、ダンジョンの奥へと足を進めた。

 

「ここが第一階層か……なんか洞窟みたいだな」

 

 俺はダンジョンの一階層を歩きながらそう呟く。

 

 周りを見ながら探索していると、気になるもの発見する。

 

「なんだこれ? 本?」

 

 それは古くて分厚い本だ、だがタイトルらしきものが書いてない。

 

 俺はその本に手を伸ばす。

 

 すると本を手に取った瞬間、俺の頭の中に声が響いた。

 

《スキル:解読を発動します》

 

  俺は突然の声に驚きながらも、その声の内容を頭の中で整理する。

 

 そして俺は1つの結論に至った。

 

「もしかしてこのスキルって……あらゆる本や古文書を読むことができるってことか?」

 

 とりあえず俺はこの本開き、解読を試みる。

 

「なんかめっちゃ分厚くて、読むのが大変だな」

 

 俺は1ページ1ページをしっかりと読み進めていく。

 

「これ魔法書じゃねぇか! 《炎魔法》……っておぉ――!!」

 

 すると俺の手のひらに火の玉が出現し、手のひらの上で火は燃え続けた。

 

 そして俺はその火を地面に投げつけると、小さな爆発が起きる。

 

 俺は自分でも信じられないほどの魔法の威力を目の当たりにし、驚きの声を上げてしまう。

 

「な、なんだこれ!? しかも炎だけじゃない、水や風も出せるのか!?」

 

 俺はその後も魔法書を読んでいくと、《水魔法》《土魔法》《風魔法》《雷魔法》など、様々な属性の魔法呪文が書いてある。

 

「とりあえず、この魔法書を持ってダンジョンを攻略するか」

 

 俺は魔法書をアイテムボックスの中に収納し、迷宮探索を再開した。

 

「お? あれ……ゴブリンか?」

 

 外見は醜悪で身長も人間の子供と同じぐらいであり、戦闘力などもそんなにない。


 なので初心者にも倒せるような魔物だ。

 

「さっきの魔法、使ってみるか」

 

 俺は魔法を撃つ準備が整うと、そのままゴブリンに向けて魔法を発動する。

 

《炎槍》

 

「ガァァァ!?」

 

 俺の手から放たれた炎は、真っ直ぐとゴブリンの体を貫く。

 

 貫いた炎は徐々に消えて行き、ゴブリンの死骸だけがその場に残った。

 

「え、瞬殺じゃん」

 

 そして俺はこの調子でモンスターたちを瞬殺していく。

 

 1階層では苦戦することもなく、30分ほどで俺は5階層まで到達した。

 

 ちなみに俺の今のステータスはこうなっている。

 

 

 ◆◆◆◆◆◆

 星野翔

 17歳 職業:学生

 スキル:《解読》《炎魔法》《水魔法》《風魔法》《土魔法》

 


「めちゃくちゃ余裕だな」

 

 5階層ではゴブリンの他に、オークやコボルトなどのモンスターも出現したが、どれも瞬殺だった。

 

「そろそろ帰るか、モンスターからドロップした魔石も結構あるし」

 

 そして俺はそのままダンジョンの出口に向かって、足を進めようとする。

 

 するとその時、オーク三匹に襲われている少女を発見する。

 

「た、助けてぇぇ!」

 

「おい、大丈夫か!?」

 

 俺は急いで少女のもとに向かう。


 少女はすでに倒れており、オークが腕を振り上げているのが見えた。

 

 俺は頭の中で《水魔法》を唱える。

 

《水槍》

 

 俺の手から放たれた水は槍のような形状を形成し、オークの手を貫いた。

 

「グォォォォォォォ!」

 

「そんで、オークに《土魔法》!」

 

 俺はオークの足元にある土を変形させて硬く固める。


 それによりオークたちは身動きが取れなくなる。

 

「これで最後だ! 《炎槍》!」

 

 燃え盛る炎の槍が、オークの胸部を貫き絶命させる。

 

 周りを確認すると、そこはもう血の池だった。

 

 俺はその惨状を見て吐き気を催し、その場で吐いてしまう。

 

 そんな俺の前に少女がやって来た。

 

「あ、あの、ありがとうございます!」

 

「いや別に……あれ? 君、どこかで見たような……」

 

 どこかで見たような顔の女の子。


 もしかしてだけど、登録者100万人越えのダーチューバーじゃないか?

 

「まあいいか、配信者ってことは実力もあるし、一人で帰れるよな?」

 

 そう言って俺はこの場から去ろうとした時、彼女が俺の手を引く。

 

「ま、待って!」

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