第14話 分かれ道

《11階層!? 前回って六階層じゃなかったけ?》

《そういえばユキちゃんがソロで10階層まで攻略してたよ 》 

《ユキちゃんが!? えぐすぎて草》

《ユキちゃん半端ねえな!》

 

 そんなコメントを見ながらリサは配信を進めていく。

 

 そういえば俺が六階層に出る魔物を討伐している最中も、リサは視聴者の質問に答えたり、ダンジョンの情報を配信したりしていた。


 俺はただ淡々と魔物を倒すだけしかしていないが、リサは視聴者と会話しながらダンジョン攻略をしている。


 やはり人気配信者になるにはトーク力も大事なのだろうと実感した。

 

 そして11階層まで辿り着いたので、早速俺らは探索を始める。

 

「そういえばこのダンジョンって50階層まであるんだよな? 50階層には何があるんだ?」

 

「それは勿論お宝だよ! ダンジョンには色々なモンスターが出るし、ドロップする素材も多いからお宝が沢山あるんだー」

 

 リサはそう言うと、突然立ち止まる。

 

 俺はリサの視線の先に目を向けると、そこには大量のキラーラビットが佇んでいた。


 キラーラビットは、その名の通り鋭い牙を持ったウサギ型の魔物だ。


 かなり素早く、鋭い牙で攻撃してくるため危険度が高い。

 

「よし、それじゃあ俺が最近覚えた魔法を使ってみるか」

 

「え、もう新しい魔法を使えるの!? クロって本当に凄いよね」

 

 リサは驚いた様子で見てくる。


 俺はそんなリサに笑いかけながら、キラーラビットの群れに向かって炎魔法を放った。

 

《レベル2 炎蛇》

 

 俺が魔法を放つと、蛇のような形をした炎がキラーラビットの群れに襲いかかる。

 

 俺の魔法に驚いたキラーラビット達は逃げ惑い、次々と焼き払われていくのだった。

 

《レベル2の炎魔法!? クロ君って本当に何者なんだ? 》

《流石クロ君! 強い!》

《やっぱりクロ君は凄いな……》

《クロ君の炎蛇強すぎ!》

 

 コメント欄では俺の魔法に驚くコメントが多く書き込まれている。

 

 やはり魔法が使えない人にとっては、レベル2という魔法を使えるのは憧れの対象になるのだろう。

 

 そして俺はキラーラビットを次々と焼き払っていく。


 すると辺り一面にいたキラーラビットはいなくなっていた。

 

《大量発生してたキラーラビットを一人で一掃しちゃったね》

《流石クロ君だあ!》

《リサちゃん、クロ君に任せすぎちゃだめだよ!》

《クロ氏、ダンチューバーになってくれ! 》

 

 そんなコメントを見ながら俺たちは11階層の探索を続ける。

 

 そして奥に進んでいくと、分かれ道が現れた。

 

 どうやら二手に分かれないといけないらしい。

 

 俺はどちらに進むべきか考えていると、リサが口を開く。

 

「んー、どっちに進もうかな、どっちかに12階層への階段があると思うんだけど」

 

「どうする? 視聴者に聞いてみるか?」

 

「まあ勘で決めるよりかはいいかも!」

 

 分かれ道では視聴者の意見を取り入れるのもありだろう。


 そう思い俺はコメント欄に目を通していく。

 

《左側が100パーセント罠ですね》

《どうだろう、右側が罠の確率が高いかも》

《解析班はいないのか?》

《一応マップの解析を動画見ながらしてみたんだけどさ、左に行った方がいいかも》

《俺も左かな》

《右に行けば、お宝があるかもしれないのに! 》

《右が100パーセント罠だゾ》

 

 どうやら視聴者の意見は分かれているようだ。

 

 そして解析班と呼ばれる人の意見も参考にしたい。


 俺はそちらの視聴者の意見も聞いてみることにした。

 

「それじゃあ左に行ってみるか」

 

「埒が明かないし、それで行こう!」

 

 そうして俺らは視聴者の助言を参考にして左へ進むことにする。

 

 すると目の前には黒い扉が現れるのだった。

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