なんか俺、古代魔法を遊びで使っていたら人気配信者を助けてしまった件～そしたら動画がバズりすぎて大変なんですけど！？～

第13話 A級探索者のユキ

「こっちだよ！　クロ！」

　ダンジョンまで来るとリサは既に入り口で待機しており、手を振っている。

「さてと今日は六階層からだな」

「それなんだけどさ、実はもう攻略されちゃったみたいなんだよね」

　リサはそう言うと、俺にスマホを見せてきた。

　内容を確認させてもらうと、まさかの十階層まで突破されている。

「だ、誰が攻略したんだ？ 」

　俺が戸惑いながら聞くと、リサは苦笑を浮かべる。

　十階層までたどり着いたということは、相当強い探索者だということだろう。

　俺は固唾を飲みながらリサの回答を待った。

　すると彼女は悪戯っぽい笑みを浮かべながら言葉を発する。

「実はA級探索者のユキっていう人らしいの、凄いよね！」

「ユキって確か、仮面を付けてダンジョンを攻略してきてる探索者か、ネットで見たことがあるな」

　最近ダンジョン探索者として実力を付け始めてる配信者であり、毎日のように攻略動画を投稿している。

　そんな少女が十階層を攻略したらしい。

　ユキは十階層を攻略し、階層主まで倒してしまった。

　一体どれだけの実力を持っているのだろうか。

「クロもダンジョン探索するんだから、ライバル視しないとね！」

「はははは、まあリサもいるし大丈夫だろ」

　何だかんだ言ってリサもB級探索者の実力者だ。

　リサは戦闘の経験も豊富だし、魔物にはそう簡単に負けないはずだ。

　そんな会話をしながら俺たちは11階層に向かって行く。

「それじゃあ配信をしようか！　私のチャンネルで！」

　そうしてリサは慣れた様子で配信の準備をする。

　そして配信がスタートすると、コメント欄には視聴者からのメッセージで溢れていた。

《リサちゃん！ 》

《今日はどんなモンスターを狩るのかな？》

《クロ君と一緒にダンジョン攻略か！》

《リサちゃぁぁぁん！　配信待ってたよおお！》

《クロ君とリサちゃんが仲良いの良き！》

　なんと同接は1万人を超えており、その人気の高さがうかがえる。

　流石はリサ、配信者の中でも上位の人気を誇るだけある。

「今日は11階層からスタートするんだ！　みんなついてきてねー！」