第6話 有名配信者のリサ

 翌朝、目が覚めると俺はベッドから起き上がる。


 そんで少しネットサーフィンをしようとすると驚きの情報を知る。

 

『あらゆる魔法を使う、謎の新人探索者あらわる!?』

 

 そんなタイトルで俺の記事が書かれていた。

 

 その記事には昨日のダンジョンでのことが事細かく書かれていて、俺は少し恥ずかしくなる。

 

 だが幸いにも顔が映ってはおらず、俺はホッと胸を撫で下ろす。

 

「途中で配信が切れていて良かったよ」

 

 そうホッとしていたのも束の間、俺はスマホが震えていることに気づく。

 

 すぐに俺はスマホを手に取り、通話を開始した。

 

《あ、おはよう、翔くん》

 

 このハキハキとした声は間違いなくリサの声だろう。

 

「いきなりどうしたんだよ、俺に連絡なんて」

 

「え? だって今日一緒に探索をしに行く予定でしょ!」

 

「ん~、そういえばそうだったな」

 

「もう! ダンジョンから出た後も話してたのに忘れたの?」

 

 昨日、俺が帰宅するまでの間はずっとリサは興奮しっぱなしだった。


 そんな会話の中で出た話題が次のダンジョンの話である。

 

 最近、近くで新しいダンジョンが出現したらしく、俺たちはそこに行く予定を立てていた。

 

「じゃあ集合場所でな」

 

「うん、ちゃんと来てよね!」

 

 そう言って通話を切ると、俺はキッチンに向かい、朝ご飯を食べる。

 

 10分ほどで食事を終えると、俺はすぐに着替えを開始。

 

 そして荷物をまとめて、家を出るのだった。


 


 

「それじゃあ行くか」

 

「うん!」

 

 俺たちは電車に揺られながら、目的地である新しいダンジョンに向かう。

 

 そして数時間ほど電車に揺られていると、すぐに目的のダンジョンに到着した。

 

 そのダンジョンは最近出来たばかりということもあり、まだ探索者の数は少ないようだ。

 

 だがそれでも、多くの探索者が探索を始めているようで、入り口には列が出来ている。

 

「配信者ってやっぱり注目が集まるんだな」

 

 周りを見ると俺やリサ以外にも有名配信者の姿があった。

 

 他の有名な配信者を順に見ていくと、ランキングで見たことがあるような人物ばかりが来ている。

 

 もちろんその中には俺たちのことをチラ見する奴も多くいる。

 

 まあ俺じゃなくてリサを見てるんだろうがな。

 

 そんなことをしていると、リサが俺のことをツンツンと小突いてきた。

 

 そして俺に耳打ちをしてくる。

 

「ねえ、何で仮面なんて付けてるの?」

 

「有名配信者といたら、嫌でも注目されるだろ?」

 

「む~」

 

 どうやらリサは俺が仮面を付けていることがお気に召さないようだ。

 

 それでも一応正体を隠しておかないと、あとで面倒な事になりかねないからな。

 

「それじゃあ、そろそろダンジョンに潜るか」

 

「うん、行こう」

 

 そして俺たちは列の最後尾に並び、ダンジョン内に入って行くのだった。

 

 俺たちが入場したそのダンジョンの名前は《ファーレンス》という場所だ。

 

 中級の探索者でもやっていけるダンジョンらしい。

 

 だが俺の戦闘経験は乏しいから油断は出来ない。

 

 俺はそう心配しながらダンジョンに潜るのだった。

 

「それじゃあ配信開始するよ! 今日はなんと!  前回私を助けてくれた新人探索者と探索をするぞー!」

 

 そうリサが発言すると、コメント欄は大盛り上がり。

 

「リ、リサ、俺少し緊張してるんだが……」

 

「何言っているの! ほら行くよ!」

 

 そう言ってリサは俺の腕を引っ張る。

 

 そして俺たちはダンジョンの奥へと進んで行くのだった。






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