第7話 今日五階層まで行くの!?

 俺らが今いる場所は第一階層。

 

 このダンジョンの第一階層は洞窟のような構造になっており、道もそこまで入り組んでいるわけではない。

 

 そしてモンスターもゴブリンやオークがメインで、たまにコボルトなども出現する。

 

 そんなダンジョンの中を俺たちは歩いていた。

 

 ちなみにリサが持っている武器は剣だ。

 

「結構武闘派なんだな」

 

「まあね~、やっぱり戦闘するなら剣を扱えるようにはなりたいじゃない?」

 

 そんな事を言っていると、前方から3匹のゴブリンが接近してきた。

 

「よし、なら俺の魔法をお見せしよう」

 

「待ってました!」

 

 リサは俺の魔法というと、目を輝かせながらこちらをみてくる。

 

 俺は手を前に出しながら、魔法を唱える。

 

《炎槍》

 

 すると俺の手のひらから3本の炎の槍が出現して、ゴブリンの腹部を貫いた。

 

 そしてゴブリンたちは地面に倒れ、絶命する。

 

「すごい!  しょうく……ねえ、何て呼んだらいい?」

 

 そうだった、今は配信中だ。

 

 視聴者が見ている前では、俺の呼び方に困るだろう。

 

 俺は少し考えた末、《クロ》と名乗る事にした。

 

「俺の名前は『クロ』だ、改めてよろしくな、リサ」

 

「うん! でも一応リスナーに説明をいれておこうか」

 

 そう言ってリサはカメラを俺の方に向ける。


 そして口を開いた。


 《私は今、新人探索者の《クロ》さんと探索をしています!》

 

 そう配信で説明するリサ。

 

 すると視聴者たちはコメント欄に《クロなんだ》や《本名教えてよー》などのコメントが書かれる。

 

「皆クロの事が知りたいんだね」

 

「はははは……」

 

 俺は苦笑いを浮かべながら、ダンジョンの奥へと足を進める。

 

 そしてしばらく歩いていると、俺たちは第二階層へと到達するのだった。

 

 ここまでは罠などもなく、比較的安全に進むことが出来た。

 

 だが二階層からはそうはいかないだろう。

 

 二階層のモンスターはゴブリンやコボルトなどの低級モンスターが多い。

 

 しかし1階よりも数が多く、集団で行動していることが多いので少し厄介だ。

 

「さっさと五階層まで行きたいし、一気に駆け抜けるか」

 

「え!? 今日五階層まで行くの!?」

 

 俺は《炎風》を放ちながら、道を切り開く。


 そしてリサもそれの後に続き、一緒に走った。

 

「ちょっと! これ以上はダッシュ禁止!  魔物が多いよ!」

 

「大丈夫だ、まだまだ魔力が残ってる」

 

 俺は数秒に一本ペースで《炎槍》や《水槍》を放つ。

 

 そして少ししてから一気に後ろのモンスターたちを殲滅する。

 

 そんな俺を見て、リサは感嘆の声を上げた。

 

「す、すごい! 私でもこんなに早く進めないのに……」

 

 こうしてリサが驚きのあまり棒立ちしていると、後ろからオークたちが迫ってきた。

 

《土壁》

 

 俺は土魔法を使い、オークの行く手を阻んだ。

 

 オークたちは壁に衝突して、絶命する。

 

 その隙をつき、俺とリサはダンジョン内を駆け抜けた。

 

 そして30分ほどダンジョンを駆け抜けると、俺らは五階層の入り口に到着した。

 

「嘘、本当に五階層まで来ちゃった……」

 

 リサは驚きのあまりか、口をあんぐりと開けている。

 

 配信の視聴者も驚いているのか、コメント欄は大盛り上がりだ。

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