第5話 私と一緒にダンジョンの探索をしませんか?

 俺は彼女に呼び止められ、振り返る。

 

 すると彼女は俺の目を真っ直ぐ見つめながら、口を開いた。

 

「どうかあなたの名前を教えてください、私はリサと言います」

 

「俺の名前は……いやその前に、配信は切っていますか?」

 

「はい、もう切っています」

 

「じゃあ名乗りますね、俺の名前は星野翔と言います」

 

「あ、あの翔さん、いつからダンジョンの探索者になったのですか?」

 

 リサさんの言葉に、俺は反応する。

 

「さっきです」

 

「はえ?」

 

 困惑しているリサさんに俺は説明する。

 

 するとリサさんは目を輝かせながら、俺の手を握った。

 

「凄すぎますよ! その魔法書ってきっと古代の魔法書ですよ! めちゃくちゃ激レアアイテムです!」

 

「そうだったのか?」

 

「はい! まあレアなんですけど、魔法書は基本誰にも解読できませんからね。私も色々試してみたんですけど、まったく分からなかったです」

 

 なるほどな~、つまり俺は偶然ダンジョンで本を手に入れて、読んでみたらその本に載っていた魔法が使えるようになったってことか。

 

「俺のスキルは一応解読らしいんだ」

 

「それは聞いたことがないスキルですね……でも魔法書が解読出来るってことは、かなり当たりですよ! 現状解読なんてスキルを持っているのは翔さんしか知りません」

 

 そうなの!? このスキルってすごいのかな?


  そう考えていると、リサさんは俺の両手をガッシリと握り締める。


 そして口を開いた。

 

「もし良かったら、私と一緒にダンジョンの探索をしませんか? 実は私、そろそろ探索者としての限界を感じていて……」

 

「それは……」

 

 どうしようか、この子の誘いに乗るか、乗らないか。

 

 正直ダンジョン配信者と一緒にやるとなると注目度がすごいことになりそうだ。

 

「あまり目立ちたくは無いんだ」

 

「大丈夫ですって!」

 

 ん~、どうしようか。


 まあこの子と一緒に探索するのも悪くないかもしれない。

 

 それにこの女配信者はそこら辺にいる配信者とは違って意外としっかりとしてたイメージだ。

 

「俺はまだ戦闘経験があまりないけど、それでも大丈夫?」

 

「全然大丈夫です  私がしっかりサポートしますので!」

 

 俺は少し悩んだ後、リサさんの誘いに乗ることにした。

 

「それじゃあ、ダンジョンから出るか」

 

 そして俺はリサさんを連れてダンジョンを後にするのだった。

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