第16話 パイソン強すぎだろ

 パイソンは、中級者ダンジョンではあまり出現しないと聞いていたが、どうしてこんなところにいるのだろうか。

 

 そんなことを考えていると突然、リサが声を上げたのだった。

 

「クロ! 後ろ!」

 

 リサにそう言われ、俺は咄嗟に後ろを振り向く。

 

 そこには巨大な蛇の尻尾があり、俺に向かって振り下ろされようとしていた。

 

 俺は咄嗟に炎魔法を放つも間に合わず、そのまま尻尾によって吹き飛ばされる。

 

《クロ氏!?》

 

《やばい! やられちゃう!》

 

《とうとうクロ氏やられてしまうか……》

 

 俺は宙を舞うと地面に落下し、力なく倒れ込んでしまう。

 

「大丈夫!? クロ!」

 

「な、なんとか……」

 

 俺はなんとか体に力を入れて、フラフラしながら立ち上がった。

 

《クロ氏!!!!》

 

《クロ君、無理しないで!》

 

《てか同接やばい、10万人になってる》

 

《本当だ、どんどん増えてるよこれ》

 

 コメント欄も俺が攻撃を受け、倒れていることで視聴者が大勢集まってくる。

 

「リサ、少し時間稼ぎを頼めるか? 」

 

「ちょっとなら、なんとか時間を稼げるよ」

 

「時間が少しあればパイソンを倒せる魔法を放つ事が出来る、だから俺の準備が整うまで足止めを頼みたい」

 

 そう、俺は体内に魔力を高めることが出来る。


 この魔力を利用してなんとかあの蛇を倒すしかない。

 

《でもクロ君、時間稼ぎは流石に厳しすぎる》

 

《相手は上級ダンジョンにいるA級モンスターのパイソンだよ!? 》

 

《これは流石にきついだろ……》

 

 そうコメント欄で言われているとおり、俺らにはA級の魔物を倒せる力はない。

 

 だからこそリサが時間稼ぎをしてくれている間に魔力を練り上げる必要がある。


「よし、私に任せて! その間にクロは魔力を貯めてね!」

 

 リサはそう言うとパイソンの眼前まで行き、そのまま小さめの剣でパイソンを攻撃し始めた。


 しかし俺が見ている限り、攻撃が効いているようには見えない。


 恐らくレベルの差もあるだろうが、やはり耐久力が半端ないのだろう。


 俺はリサが時間を稼いでくれている間に魔力を練り始める。

 

 それから数分間、リサは俺の時間稼ぎをしてくれている。


 だがパイソンの体力は一向に減っているようには見えなかった。

 

《やばいってやばいよ!》

 

《パイソン強すぎだろ、リサちゃんやられちゃう》

 

《リサちゃああああん!」

 

《クロ氏! 早く魔法撃って!》

 

 コメント欄ではリサがパイソンによってやられてしまうのではと、そんな不安なコメントで溢れかえっていた。

 

 そしてついにその時が訪れ、リサはパイソンの攻撃によって吹き飛ばされてしまう。


 だがそれと同時に俺はちょうど魔力が溜まり、すぐさま魔法を放つ準備をするのだった。


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