蒼原のハフムード

　ハフムードは転生者である。ブラック物流業界に勤めながら幼馴染みの妻と小さな幸せを育んでいたが、理不尽な暴力により妻を失い、失意の中自分も死亡する。
　転生したハフムードは二人の妻、桐姫とササンと共に旅をしながら商いをする小商人になっていた。大国「戒」の辺境にある商業都市カンクリで、彼は遊牧民族であるアルタイ族の姫カーシュガリーから食糧の調達を依頼される。ここ北方高原には多くの遊牧民族がいるが、穀物の凶作によって飢饉が近づいていた。そして暴虐王率いるバダフシャン族による度重なる略奪が、北方高原を混乱に陥れていた。
　——転生したハフムードには「倉庫」と呼ぶ特殊能力を与えられていた。その能力でハフムードは商人として混迷する蒼原を突き進んでいく。