第5話「その勝負受けて立つ!」
その女の子は、思わず目を奪われるような雰囲気をまとっていた。白い肌に憂いを帯びた目元。長い髪をツインテールに結わえ、ミントグリーンのワンピースで身を包んでいる。どことなく浮世離れした透明感の彼女を見つめていると、視線に気づかれたのかこちらを見上げてきた。目が合った。
「あっ……ごめん、ジロシロ見たりして」
反射的に謝る。
「……僕に、何か用事?」
「いや。清花の人だよな? 他のクラス? 肝試しで来てたんだよな? どうして座ってるのかなって思って……」
慌てるあまり、矢継ぎ早に聞いてしまった。そこまで言ってから、相手の反応を待つ。
彼女は瞬きをして、一拍置いてから答えた。
「……肝試しで来てたんだけど。脅かし役の人のところで、ペアの相手がびっくりしすぎて僕を突き飛ばして走って逃げちゃったの」
「それは災難だったな……怪我とかしてないか?」
「ちょっと足を挫いたみたい」
「え!」
「それでここで休憩してたの」
「そうだったんだ。少しは痛みは和らいできた?」
俺が尋ねれば彼女はこくんと頷く。
「じゃあ帰ったら先生に診てもらったほうがいいな。歩ける?」
「多分」
彼女は立ち上がろうとして少しふらつく。
「わ! ゆっくりで大丈夫だから。つらかったら俺の腕に掴まって」
「うん」
素直に俺の腕に掴まり、支えにしながら立ち上がる。
「ありがとう」
「いいって。歩くスピード、しんどかったらすぐに言って」
そうして名前も知らない女の子と二人になって帰り道を歩き始めた。
「俺は花組の鵠沼畔。名前、聞いてもいいか?」
「
どうりで会ったことがないわけだ。閑が居る月組なら多少の行き来はあるが、他のクラスになるとまだ入学一ヶ月で面識のない人が多い。
「鵠沼……さん、って男の子?」
「呼びやすいように呼んでくれていいよ。やっぱすぐ気づく?」
「さすがに。それに、同じ学年に女子制服の男子が居るって噂は知ってた」
「ありゃ、噂になってたか」
「制服の注文のときに頼んだの?」
「そう。採寸の人が女子制服でもいいですよって、学校側にも申請してくれたんだ」
「いいね」
「ま、今は私服だけどな〜」
俺は空いている方の手でスカートをつまんでみせる。
「学校に戻ったら、制服の畔に会いたい」
「すぐ会えるよ」
そのようなことを話しているうちに、ゴール地点にたどり着いた。
「おかえり! あら、変わった組み合わせのペアですね」
ゴール地点の担当の先生が首を傾げる。
「途中で会ったので一緒に戻ってきました。美魚川さん、足を挫いたらしいので診てもらえますか?」
「そうだったんですね、鵠沼さんありがとう。美魚川さんはこちらの医務室に」
美魚川さんは俺の腕から手を離す。
「畔、ありがとう。またね」
「うん」
小さく手を振り合って、美魚川さんと別れた。
宿泊施設に戻ると、ちょうど大浴場に向かうところだったらしい小桃ちゃんと遭遇した。手には入浴セットを持っている。
「畔くん! おかえり!」
「ただいま。肝試し、大丈夫だった?」
「なんとか……」
「小桃ちゃん、暗いのと狭いのが苦手って言ってたからちょっと心配してた。夜道は狭くはないけど、暗いからさ」
「心配してくれてたの? えへへ、嬉しい……」
小桃ちゃんは顔を赤くして微笑む。
「でっ、でもね、ほんとは畔くんと行きたかったなぁ……」
「くじ引きでペア決まっちゃったもんね」
「むにゅ……」
なにか言いたげだったが、小桃ちゃんはお風呂の時間逃しちゃう、と言いながら大浴場へと向かっていった。
「さて、俺も風呂の時間だな」
風呂セットを手に脱衣所に入ると、その場の全員が一斉に俺の方へ振り向いた。視界の端に映った人物のシルエットが女子に見えて焦ったのだろう。
「俺だよー」
ひらりと手を振ってなんでもない素振りを見せつつ脱衣カゴを確保する。
「なんだ鵠沼か……」
「女子が間違えて入ってきたのかと思っただろ!」
「残念でした〜」
ブラウスのボタンを外しに取り掛かると、チラチラと視線が向けられていることに気づいた。見られている側というのはすぐに気づくものだ。
「あんまりジロジロ見られると脱ぎにくいッス〜」
茶化すような口調で言えば、殆どの人は視線を外す。物珍しいだけで悪気がないことくらいは俺だって分かっている。だからしつこく絡んでくる奴以外の視線は許すことにしている。
服を脱いで大浴場に入り、適当なシャワーの前を陣取った。
「あれ、鵠沼さん?」
「吉田さんか。おっす」
たまたま隣に座って先に髪を洗っていた吉田さんと言葉を交わす。
「なんか荷物多いね」
「これのことか?」
吉田さんが言っているのは俺が持ち込んできた風呂セットのラインナップのようだ。
「こんなに色々? どれがなに?」
色とりどりの容器を物珍しげに眺めている。
「シャンプーとトリートメントと、ボディーソープと洗顔料だな。脱衣カゴには化粧水と乳液とボディーミルクが入ってる」
「すごい……ここにも備え付けのシャンプーとトリートメントあるのに?」
「お気に入りを使いたいからな」
「それだけ髪が長いとこだわりもあるんだね。おれはトリートメントは使ってないけど……」
「えっ! それはおすすめしないわ! シャンプーだけでトリートメント使わないとか、化粧水だけ塗って乳液塗らないのと同じくらいダメだろ!」
「ごめん、その例えはよく分かんない……」
俺と吉田さんがシャントリ談義をしていると、他のクラスメイトたちも浴槽の中から会話に入ってきた。
「化粧水? って男でもした方がいいの?」
「若さにかまけてないで必ずやれ、っていうのが俺の意見です」
「こないだねーちゃんに化粧水と乳液塗られたんだけど乳液ってベタベタして苦手だわ、化粧水だけじゃダメなの?」
「乳液で蓋をしてあげないとせっかく化粧水で補った水分が蒸発して無駄になるから必ずつけてほしい」
「畔センセー、単純にスキンケアめんどくさいッス」
「じゃあまずはオールインワンジェルでいいから、とにかく風呂上がりの保湿を習慣化するといいぞ」
わいのわいのやりながら風呂から上がると、「畔センセーのスキンケア講座を見せてよ」という流れになった。
説明した通りに顔に化粧水と乳液を浸透させ、タオルドライした身体にボディーミルクを塗る。
「それが一番めんどくさそう」
とボディーミルクを指摘される。
「服着てから塗る方がめんどくさいから風呂上がりに塗るタイプが楽チンでおすすめ。まあ最初から全部やろうとすると挫折するから、ボディーミルクとかはおいおいでいいんじゃねえかな」
「はえ〜……美意識高い……俺には真似できんわ」
「無理なく続けられるケアからで大丈夫」
ナイトウェアを着て次はドライヤーだ。
「その液体は?」
「ヘアオイル。ドライヤーの前に髪につけると熱で傷むのを抑えることができる」
「うん……やっぱ真似できそうにないわ」
おおよその彼らの反応は諦めだった。この後はもう見せるところないから、と美容講座受講者諸君を先に帰し、俺はドライヤーを始める。家族の中で一番髪が短いのは閑なので、家だと俺や父さん母さんがいつも洗面所を占有してる。そのうち長時間の稼働に耐えられずにドライヤーが焼き切れるようになったので、一人一台持つようになった。
そのようなことを考えていると背後でガラッと入り口の戸が開く気配を察知した。鏡越しにそちらを見るとそこに居たのは……茨咲さん?
茨咲さんは俺に気づいていないのか、脱衣カゴに荷物を置いてブラウスのボタンに手をかけた。俺は慌ててドライヤーを止め、声を上げる。
「わーっわーっ! 茨咲さん! ここ男湯!」
俺の声で動きを静止し、茨咲さんはこちらに振り返った。
「ん-……?」
茨咲さんは眉間に皺を寄せながらずんずんと近づいてくる。ぶつかりそうなほどすぐ目の前までやってきて、ようやく茨咲さんは足を止めた。まじまじと顔を覗き込まれる。
「……あー……鵠沼かぁ~」
「どうも鵠沼です。間違えて入ってきたのか?」
「部屋でコンタクト外してきたから男湯の看板よく見えなかった~」
「視力悪いんだ?」
「まぁね~」
どうせ周りには誰も居ないし、と思って俺は切り出した。
「茨咲さんってさ、なにか隠してる?」
そう訊ねると、茨咲さんは胡乱な目を向けてきた。怒らせてしまっただろうか、と少したじろぐ。
「いや……いつも眠そうにしてるけどさ。何にもやる気がないとかじゃないんだろうなって思って」
「……なんでそう思ったの?」
「いつも寝ているだけの人がこんなに近づかないと誰か分からないくらい視力悪いとは考えにくいし……あ、生まれつきとかだったらごめん、今のはなかったことにしてほしいんだけど……。服もおしゃれだし、いつもお化粧バッチリだし。ギブソンタックって手の込んだ髪型だから、毎日編んで登校するのも大変そうだなって思ってさ」
「つまり……あたしは本気出してないだけ、って言いたいの?」
「うん」
茨咲さんはスッと目を逸らした。
「鵠沼ってさ、あんまり勉強の成績はよくないでしょ?」
「え?」
急に話題をすり替えられた気がして、つい怪訝な反応をしてしまった。
「授業の小テストでもあんまりいい結果じゃないもんね~。隣の席だから分かるよ~」
確かに抜き打ちの小テストは隣の席の人と採点し合うことになっているので、俺の学力がイマイチであることはバレていた。だが、それが今の話と何の関連性があるのだろう?
「俺の成績と茨咲さんの隠し事になんの関係が……?」
「勉強できない人には、教えてあげられない」
そのストレートな物言いに、俺は思ったよりもショックを受けていた。何も言い返せずにいると、茨咲さんは荷物を持って女湯へと向かっていった。
一人残された俺は、誰にともなく呟いていた。
「……これは……全力にならないといけないかもしれない」
勿論ミスコン優勝を目指すなら、学力は必須項目だ。だけどそれだけじゃなく、茨咲さんの心を開かせるためという新たな目的が、今この瞬間に増えた。
***
翌朝まだ太陽の昇りきらないうちに、大音量の目覚まし放送に叩き起こされた。この宿泊施設ではアラームの代わりに、全部屋同時に起床時間を告げる目覚まし放送を行っているらしい。前日の夜にそういった話は聞かされていたのだが、実際体験するとかなり心臓に悪かった。
学級委員という立場上、同室のメンバーの中でも俺は自然とリーダーポジションに収まっていた。
「みんな起きたかー? 顔は洗ったか? 寝巻の奴は居ないか? 聖歌集は持ったか?」
「鵠沼さんほんと世話焼きオカンだね……」
あの遠慮がちだった吉田さんもいつの間にか軽口を言えるようになったらしい。嬉しい変化だ。
「悪い、いつも家で閑を起こしてるから習慣になってて」
「妹さんは寝起き悪いタイプ?」
「この世の終わりみたいに機嫌悪いタイプ」
大変だね、と労われながら部屋を出発する。二日目の朝は教会でミサに参加することになっていた。
「ミサって参加するの初めてだなー」
「難しい詠唱とかあったらどうしよう」
「詠唱て。吉田さんおもしろ~」
話しながら移動していると女子区画からやってきた小桃ちゃんたちと合流した。
「畔くんおはようっ! よく眠れた?」
「うん。そうだ、この後のミサってなんか予習した方がいいこととかある?」
「聖歌集の後ろの方にミサの流れを全部書いてあるページがあるから、それを見ながらやれば大丈夫!」
小桃ちゃんの後ろからついてくる茨咲さんは今日も欠伸をしている。俺に対して気まずそうな顔を見せるでもなく、通常運転といった感じだ。
渡り廊下を歩いていって、少し離れた場所にある教会に辿り着く。重たそうな入り口の扉は解放されており、内部に足を踏み入れると木製の床が軋む。年季の入った建物だ。
正面に広がるステンドグラスは、ようやく昇ってきた陽の光を通して輝き出した。その荘厳な雰囲気に圧倒され、俺たちは会話の声を潜めて席に着いた。隣に座った小桃ちゃんは、俺にそっと耳打ちをしてくる。
「畔くんは、ミスマーガレットを目指してるんだよね?」
「うん。そのつもり」
「だったら見ておくといいかも。あのね、高等部三年の九月の学園祭でミスマーガレットに選ばれたら、その後の学内ミサの聖書朗読を担当することになるから」
「へぇ。入学式でも聖書朗読あったよな?」
「あれは在学のタイミング的に生徒会長だね。ミスマーガレットが聖書朗読を担当するのは、十二月のクリスマスミサと、三月の卒業式」
「じゃあ、この錬成会で担当するのは……?」
小桃ちゃんから答えを聞く前に、ミサが始まった。俺は慌ててミサの式次第というページを開き、神父様の進行を聞きながら流れに乗って朗唱する。第二部「ことばの典礼」という部分に差し掛かると、次の項目に旧約聖書の朗読との記載があった。ここがいわゆる「代表生徒による聖書朗読」のパートだろう。
静かな教会の中に、コツコツと足音が反響する。そして朗読台に上がったのは――灰ノ宮瑠璃羽だった。
「……この錬成会で担当するのは、進級試験で成績一位だった人なの」
小桃ちゃんが教えてくれて納得した。それなら成績優秀と名高い灰ノ宮さんだろう。正直言って彼女とはそりが合わないが、それとこれとは別だということくらい分かる。灰ノ宮さんは淀みなく、かつ聞きやすい速度で朗読を務める。慣れているのだろう。
いずれはあの場所に立って聖書朗読をするのは俺になるのだ。いや、そうなるように頑張らないといけない。明確な目標を見せつけられ、俺はこれからのミスコン優勝に向けた計画を立てつつうわの空でミサに参加していた。
不意に意識を引き戻されたのは、隣の席の小桃ちゃんが立ったからだった。着席したまま俺が見上げても、彼女とは視線が合わない。うつむきながら小桃ちゃんは前へ進み、それから――聖体拝領の列に並んだ。
(小桃ちゃんって信者さんだったのか?)
少し意外に思いながら、様子を見守る。聖体拝領の列に並んでるうちの八割が教職員だった。生徒で洗礼を受けている人は思ったよりも少ないらしい。
一連の流れを終えて席に戻ってきた小桃ちゃんとは、まだ目が合わなかった。
そのようにして初めてのミサを無事に終え、教会を出る。一気に緊張が解けたのか、生徒たちはみな思い思いに雑談を交わしていた。
「小桃ちゃん」
すぐに小桃ちゃんの背中を呼び止めると、びくっと肩を震わせながら小桃ちゃんが振り向いた。
「あ……畔くん。初めてのミサ、どうだった?」
「さすがに緊張した! なぁ、小桃ちゃんって信者さんだったんだな。全然知らなかった」
すると小桃ちゃんは胸の前で両手をぎゅっと握りしめて視線を地面に落とした。なにかあるだろうとは思っていたが、そんなに踏み込まれたくなかったのだろうか……?
沈黙を破ったのは、よく通る声の持ち主だった。俺の背後から、その流麗たる声色の彼女は言葉を投げかける。
「親沢さんは、『信者枠』なのですわ」
はっと振り返ると、灰ノ宮さんが俺と小桃ちゃんを見据えていた。
「信者枠?」
「ええ。入試の成績があまりにもふるわなかった受験者の中で……洗礼を受けて入信した者を合格にする。そういう制度があるのですわ。信者さんの数は年々減っています。一応ミッション系の学校として通っている清花ですから、生徒の中に誰も信者さんが居ないのは体裁として困るのでしょう。ですから、『信者さんの生徒が在籍している』という謳い文句のために『信者枠』があるのです。もっとも、今年度からは廃止されたそうですが……わたくしたちが中等部に入学した頃は存在していました」
「小桃ちゃんが『そう』だってことなのか……?」
灰ノ宮さんの言い方には、哀れみや嫌味の色がちらついていた。だからそれ以上その単語を復唱するのは憚られた。いつの間にか小桃ちゃんは、俺の後ろに隠れて、袖をきゅっと掴んでいた。これは……俺が守らないと。
「その通り。親沢さんは本来入学すらできないはずの落ちこぼれですのよ!」
灰ノ宮さんの『よく通る声』は、このときばかりは欠点だった。周りの生徒たちもなにごとかと俺たち三人のやりとりに注目してしまっている。
「それ以上言うな! 俺が訊き返したのが悪かった。だけどそんな言い方ってないだろ!」
「文句なら、テストでわたくしよりもいい点を取ってからにしてくださる?」
「っ……!」
それを出されては何も言い返せない。すると灰ノ宮さんは何かを思いついたような素振りを見せ、笑顔になった。俺にとってその笑顔は悪魔の嘲笑のように思えた。
「ああ、名案を思いつきましたわ。もうすぐ五月の定期試験がありますわね? そこで鵠沼さんか親沢さんのどちらかがわたくしよりも高い点数を取れた場合、金輪際あなたたちに干渉しないと約束しましょう。どちらにせよ鵠沼さんはミスマーガレットを目指しているのでしょう? 悪くない提案のはずですわよ」
「そんな……どうしてそこまで俺につっかかってくるんだよ?」
情けない話だが、今の俺には勝ち目のない負け戦を突きつけられているようだった。思わず逃げ腰な食い下がり方をしてしまう。しかし、いつかは問い詰めようと思っていたことだった。どうして灰ノ宮さんはそこまで俺を否定することにこだわるのか? それを訊けるのは、ある意味チャンスでもあった。
「――清花は、戦前の創立以来ずっと女子校でした。『女子だけでも強く生きよ、自立した女性になれ』。その教えは長く伝えられてきたそうです。そういう歴史があるのだと、そう教わってわたくしたちは日々清花での学園生活を過ごしてきましたのよ。それが共学化だなんて、急には受け入れられません」
灰ノ宮さんは文句を言うことが当然の権利であるように主張してくるが、俺としては納得できない。
「でもそれは俺のせいじゃなくねえか……」
「そうでしょうね。しかし、一人許せば前例ができてしまいますわ。現にそこの親沢さんは『最初の前例』になりましたもの」
「前例?」
「女子だけでも強く生きよ、自立した女性になれと教えられてきたのに、いざ男子生徒が入学してくればこの有様……! 自分で努力することもせず、男子生徒である鵠沼さんに依存している! わたくしはそのような他力本願な態度、清花の生徒に相応しいとは思えませんの!」
不意に袖を引っ張る力がなくなり、俺は背後の小桃ちゃんを見た。小桃ちゃんは……両手で顔を覆って泣きじゃくっている。
「小桃ちゃ……」
言い終わる前に、小桃ちゃんはその場から逃げ出す。
「あっ小桃ちゃん待って……!」
俺は灰ノ宮さんを睨みつける。
「……灰ノ宮さんっ! その勝負受けて立つ! 二度と小桃ちゃんのことは傷つけさせねえからな!」
灰ノ宮さんの返事を聞くより先に、俺は小桃ちゃんを追いかけ始めていた。
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