特別賞受賞、おめでとうございます。
同じ物書きとして、この作品が受賞したことを心から嬉しく思います。そして本当に、本当に勇気づけられました。
何度言っても言い足りない。おめでとうございます。
受賞するべくして受賞した作品だと思います。
大きな、誠に大きな困難を前にして、固まり、苦しみながらも、人やわんこに支えられて、そっと一歩を踏み出す少年の生き様に、心の底から声援を送りながら、ぐいぐいと読み進めてしまいました。
戸惑いながらも人と関わり、憤りながらも優しさに触れ、強くなりたいと願いながらまた戸惑い、自身も優しくなっていく。
全ての年齢層の方に、できる限り多くの方に読んで欲しい作品です。
舞台となるアメリカの穏やかな風景や、ちりばめられたおいしい物や小物などの描写も、大変に美しい。
清らかな透明感があり、読み終えた後も、ずっとその空気に浸っていたい、彼らを遠くから眺め続けていたい、そんな気持ちになりました。
少し前に書かれた物とのことでしたが、非常に鮮やかで。
虹乃ノラン氏の他作品も読んでいる私としては、これが少し前の作品だとしたら、今後もっともっともっとびっくりするような作品を読ませてくれるに違いないと、わくわくしながら待ち続けてしまうのです。
彼らの世界を通して自分の精神と向き合うような作品でした。
視力を失った少年が主人公です。
ここからして、私は彼の思い描く世界を物理的には理解できないのです。
しかし例え同じものを同じところから見たとして思い描くものは違うはずです。
それを人間は想像して、他者が何を見ているのか理解しようと試みる。
見えているからこそ見えていないことがある。
でも、目という器官を飛び越えて見ようと思えば、見えてくるものもある。
彼が心で「見た」ことが、精緻で温かな文章によって伝わってきます。
彼らの視点を通して自分の心が一体何を見ようとしていたのかと思わされます。
そんな素晴らしい物語でした、ありがとうございます。
やばい。クオリティがエグイ(語彙力喪失)。
一旦、プロローグだけでも読んでみて欲しい。
舞台となるアメリカの背景知識というか、文化の描写があまりにも自然で、海外文学を読んでいる時と全く同じ気持ちになった。自分の知らない異国の地が、作中に人物にとっては日常でしかない、あの感じ。
なにより圧巻なのは、作者のセンス。「そのハミングは7」というタイトルを見た時点で「なんか他とは違うぞ?」とわくわくしたが、その期待通りどころか、はるかに超えてきた。
作中のなんでもない、描写やセリフ、ワードの一つ一つに作者のセンスが込められてて、どうあがいても真似しようのないプロ作家の何かを感じた。
なんというか、無料で読めるのが申し訳ないすらある。普通に書店で購入してたとしても、余裕で大絶賛のクオリティ。
そして、読み終えた後、「鍵を拾った話をしよう。人は誰しもある意味盲目である。」というフレーズの完璧さに感心してしまった。あまりにもこの作品のことを言い表している。
読者の心を温かくしてくれたり、落ち込んでる人が再起するきっかけを与えてくれたり、そういう読者の人生に影響を与え得るパワーが本作にはある。
WEB小説の主流でないことは理解しているが、どうにかして届くべき人に届いてほしいと願うばかり。
めちゃくちゃ不思議なジャン。とっても素敵なジャン。読みながら、ジャンに惚れずにはいられなかった。
普段、私は目で世界を見ている。目で世界を見た気になっている。
でも、それって本当に見ているんだろうかと。実は、ろくに見えていないんじゃないかと。
リズムよくならんだ文字を、サラサラと目で撫でながら、そんなことを考えた。
日本にいると、経験できないことが描かれている。だから、どこか非日常感がある。
でも、この物語の非日常は、読み手の日常に優しく混ざり込んでくる。
読み終わった瞬間から、いつもの世界が違く見える気がした。
この、優しくて、スパイシーな読後感……サイコーに美味です!
作者様の文章は映像的というか、小説を普段読まない私にも、シーンの映像が浮かんできて、物語が勝手に進んでいくような体験を与えてくれます。
気になって読み始めるとドンドン止まらなくなる…
スッと含まれている細やかな描写が想像をサポートしてくれるんだろうか…
私の友人が「人は嘘つきだから信じられないけど、犬は優しいから好きなんだ。」って言っていた話を思い出したりしました。
ハミング数、という概念は知らなかったんですが、面白い魔法のような、想い(愛)を込められたメッセージですね。
また、人生について考える貴重な時間を与えてくれました。ありがとうございます。
また他の作品も拝見しますし、楽しみです。
これからのご活躍を祈念しております。
貧困、疾病、失恋、死別。思いもかけない時に、突如として様々な絶望が降りかかってくることがある。すべてを失った、もしもあなたがそう感じた時には、是非この小説を読んでみて欲しい。
ここに書かれているのは、視力を失った少年が導きを得て、自分が愛に包まれていることに気付く物語。
そう聞くとあなたは、導きなんて都合のいいものがそこらに転がっているわけないじゃないか、と憤るかもしれない。そうじゃない、探そうとしなければ、それは視力があったって見えないんだ。
人の悪意ばかりが取りざたされるこんな時代でも、誰かがあなたをきっと見守ってくれている。自分に素直になれば、きっとそれは心の目で見えてくるはず。そしてこの小説は、うつむいているあなたの背中をきっと押してくれる。
さあ、顔を上げよう。「いちばんたいせつなことは目に見えない」、テグジュペリの言葉通りに。
これまで目が見えていたのに、ある日突然世界が真っ暗になったら。
想像するだけで、ゾッとしてしまいます。世の中にはそういう方がもちろんいて、大変な苦労をされているかと思います。
この物語の主人公も、後天的に盲目になってしまった人物です。絶望感に打ちひしがれる彼の心のうちや、友人や気になる女の子と出会い、少しずつ前を向くようになっていく彼の心の揺れ動きが、繊細な描写によって編み出されています。気づいたら主人公と同化しながら、登場人物たちの姿を想像してしまいます。それほどの没入感がありました。
たとえ目が見えなくなっても、絶望だけが広がっているのではない。そんなほのかな希望を見せてくれる素敵な作品です。
ハリケーンで視力を失った少年の葛藤と成長。
見えていたものが見えなくなった彼。
しかし、見えなかったものが見えていることに気づいた、気づけた時、少年はまた、思いを新たにしていきます。
尊敬できる両親。
盲導犬ではないけれど、ないからこそ、の賢い愛犬。
他の人とは違う、初恋の人。
そして、少年が助けてほしいとき、助けてと言えたら、必ず助けてくれる、ちょっと不良な年上の友人。
周囲があたたかいのは、彼が色々なことに気づけた、そして見ることができるようになったから。
見えるものは、見えないもの。
じゃあ、今は?
彼が見ていたもの、今、見ているもの。
見えるように、なったもの。
ぜひ、一緒にご覧下さい。
本作をどうぞよろしくお願い申し上げます。
ハリケーンの被害に遭い、両目の光を失った少年が主人公。両親は主人公のために、一匹の犬を飼うことにした。それが題名のハミングだが、鼻歌という意味ではない。少年は白杖を手に、犬の散歩をしていると、ギターの音が聞こえてきた。このギターを弾く青年との出会いが、少しずつ少年を変えていく。
ある日青年は、主人公と共に車である店に連れて行ってくれた。しかしメニューどころかメニューに施された点字も読めない主人公は、商品を選べず困っていた。そこでメニューを言葉で説明してくれたのが、女性店員だった。主人公はこの女性店員の持つ違和感を感じ、女性の事を気にするようになる。女性はある重大な悩みを抱えていたのだ。
主人公は女性の悩みを解決するために奔走する。
しかし、突如として協力者だった青年が姿を消した。
そして町の人は青年の名前を知らなかった。
女性の悩みとは?
青年の正体は?
盲目になった少年の成長譚の要素が強いが、それ以上の物語の力がある。
人は誰でも盲目であり、当たり前に享受しているものが見えていない。
しかし、そのことに気付くとき、今までに見えていなかった世界が見えてくる。
とてもテンポよく描かれていて、読後感も清々しい。
是非、是非、御一読下さい。