多くのキャラクターを通して自己理解をするような物語

彼らの世界を通して自分の精神と向き合うような作品でした。
視力を失った少年が主人公です。
ここからして、私は彼の思い描く世界を物理的には理解できないのです。
しかし例え同じものを同じところから見たとして思い描くものは違うはずです。
それを人間は想像して、他者が何を見ているのか理解しようと試みる。
見えているからこそ見えていないことがある。
でも、目という器官を飛び越えて見ようと思えば、見えてくるものもある。
彼が心で「見た」ことが、精緻で温かな文章によって伝わってきます。
彼らの視点を通して自分の心が一体何を見ようとしていたのかと思わされます。
そんな素晴らしい物語でした、ありがとうございます。

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