絶望だけじゃないと教えてくれる

これまで目が見えていたのに、ある日突然世界が真っ暗になったら。
想像するだけで、ゾッとしてしまいます。世の中にはそういう方がもちろんいて、大変な苦労をされているかと思います。

この物語の主人公も、後天的に盲目になってしまった人物です。絶望感に打ちひしがれる彼の心のうちや、友人や気になる女の子と出会い、少しずつ前を向くようになっていく彼の心の揺れ動きが、繊細な描写によって編み出されています。気づいたら主人公と同化しながら、登場人物たちの姿を想像してしまいます。それほどの没入感がありました。

たとえ目が見えなくなっても、絶望だけが広がっているのではない。そんなほのかな希望を見せてくれる素敵な作品です。

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